Project/Area Number |
21K12441
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐々木 綾子 (澤田 綾子 / 佐々木綾子) 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (90613810)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 高齢化 / 山間地農業 / アグロフォレストリー / タイ北部 / 土地利用 / 東南アジア / 過疎 / 農地 / 人口減少 / 換金作物 / チャ / 後発酵茶 / タイ / 農村部 / 生業 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、急速に高齢化が進行するタイに着目し、高齢化と人口減少の実態把握と、それらが森林・農地管理に及ぼす影響の検証を目的とする。日本では農村部での人口減少が農村の社会的機能の喪失だけでなく、森林・農地の劣化も引き起こし、結果的に水害や土砂災害の増加・被害拡大をもたらす一因となっている。本研究で対象とするタイはかつての日本を上回る速度で高齢化が進んでおり、農村部の人口減少も将来的な課題となることが予測される。 本研究では、人口動態といったマクロの視点と集落レベルの変化といったミクロの視点双方から山間地の変動を読み解き、人口減少下の新興国における持続的森林・農地管理の可能性を探ることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2022年度に行った臨地調査の結果を分析し、タイ北部山間地の過疎・高齢化が進行する調査地におけるミクロな土地・資源利用の変化を分析、その要因を考察した。 これまでの研究でも、山間地においてアグロフォレストリーでの営農を維持する地域では、景観に変化はみられないものの、内部では時代ごとの需要に応じて利用する資源を切り替えることで社会変化に適応してきたことを報告してきた。2022年度の調査では、調査地において本来チャ栽培を目的としたアグロフォレストリーにコーヒー(アラビカ種)の栽培と、エコツーリズムという活用方法が加わったことを報告した。2023年度に行った文献や統計データ等と合わせた分析では、こうしたミクロな土地利用変化を引き起こした要因を以下の2点にあると考察した。①タイ南部におけるコーヒー(ロブスタ種)栽培が価格の下落により減少している一方、北部山間地でアラビカ種栽培が増加していた。加工・輸出用のロブスタ種とは異なり、アラビカ種は国内向けの焙煎・粉コーヒー生産に用いられるため、高付加価値生産物として認識されるようになった。②タイ観光庁は「コミュニティベースツーリズム(CBT)」の認定を推進しており、2010年以降北部での宿泊施設が急増している。その中で、山間地でのコーヒー収穫・加工・消費を観光資源として組み込む地域が増加している。 調査地でもこれまで化学肥料の使用などを理由に忌避されてきたコーヒー栽培が、有機栽培に転換され販路を確保したことで急速に拡大していた。これらの集荷を担うのは40~50歳代の世代であり、宿泊施設の従業員として若年層が帰村する傾向も確認されている。新たな土地利用が人口構造に及ぼす影響について継続的に調査を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年以降の海外渡航自粛の影響を受け、海外調査が制限されたことに加え、所属機関における組織編成の影響のため業務(教育・学務・広報など)が増えたことで、2023年度は現地調査を行うことができず、また研究のための時間を確保することが非常に困難であった。そのため、2023年度前半に行った文献調査・統計データ等の解析と、現地調査の結果を合わせた考察にて、ミクロな結果を報告するに至ったが、北部山地のより広い範囲を対象とした分析には至っていない。こうした状況が継続しているため、事業期間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024度は最終年度であるため、これまでの調査事例の結果を周辺地域と比較し評価するために、再度現地調査を試みる。また人口データおよび衛星画像を入手し、タイ北部全体の人口変動および土地被覆変化の抽出を試みたいと考えている。ただし、2023年度の報告と同様、分析に適した衛星画像が入手できていないため、本計画では土地被覆変化を現地での聞き取り調査から明らかにし、人口変動の影響が現地の人びとに認識される程度引き起こされているのか評価することに変更することも検討している。 また事例調査を引き続き行うことで、ミクロな視点からの人口変動の影響も明らかにする。
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