Project/Area Number |
21K12477
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80020:Tourism studies-related
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川澄 厚志 金沢大学, 融合科学系, 准教授 (00553794)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | コミュニティ開発 / 小規模住民組織 / コミュニティベースドツーリズム / 持続可能性 / 観光地域づくり / プロプアーツーリズム / 計画論 / 参加型開発 |
Outline of Research at the Start |
小規模住民組織からコミュニティ開発を推進していく方法は、ボトムアップ型、プロセス対応型といった利点を備えており、コミュニティ住民の重層的な関係性や開発の柔軟性に着目したコミュニティ開発の新たな手法として着目しており、開発途上国のコミュニティ開発や、持続可能な観光地域づくりを考える上でも一助となりうるものである。 本研究では、対象とした展開事例における小規模住民組織を単位とした開発特性を分析し、都市貧困層コミュニティや農村コミュニティを自立的かつ持続的な発展のためのコミュニティ開発手法の構築を目指し、持続可能な観光地域づくりの発展に資することを最終的な目標としている。
|
Outline of Annual Research Achievements |
タイのコミュニティ開発は従来、コミュニティ全体を対象とするものであり、オンサイトの開発では、土地分有事業や区画整備等を応用した様々な手法がコミュニティの状況に応じて展開されてきた。これに対し、小規模住民組織(SG)を単位としたコミュニティ開発は、2003年にコミュニティ組織開発機構(CODI)の都市貧困層コミュニティにおける住環境整備事業(BMP)で本格的に導入され始めており、いわば事業を円滑に遂行するためのツールとして位置づけることができる。本研究の目的は、「目的遂行型SG」の開発特性と比較検証しつつ、農村コミュニティにおけるコミュニティ・ベースド・ツーリズム(CBT)等でみられる「テーマ型SG」における開発特性を明らかにし、持続可能な観光の観点により、計画論的視点からその有効性を分析することである。本研究で対象とした展開事例を分析し、住民の合意形成を図る目的でソフトシステムを組み込んだSGを単位とした開発手法を構築し、持続可能な地域づくりの発展に資することを最終的な目標としている。 2023年度におけるタイでの現地調査は、テーマ型小規模住民組織の活動実態を把握するため、スラタニー県バンバイマイ村で2023年8月に実施した。また、余暇ツーリズム学会(2023年10月)、日本観光研究学会(2023年12月)、International Conference on Tourism Sciences2024(2024年3月)等の大会への参加を通して、これまでに得られた知見・データ等の整理を行った。 最終年度となる2024年度は2023年度に実施したバンバイマイ村における調査で得られた知見と課題において、補完調査を実施していく。特に、課題として、村の地図がないので、、地図の作成を通して、村の空間的特徴を明らかにし、同村の地域資源の分布や地理的特性を明らかにしたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、これまでの科学研究費助成事業の研究課題(17K02140、23760588、21860074)に連関した研究テーマとして取り組んでいる。2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、現地調査を実施することができなかったが、2022年度は現地調査を2回、2023年度は1回実施することができた。現地調査に加えて、これまでに得られた知見やデータ等及び、先行研究の整理を行っている。具体的には、公共事業の中に組み込まれている「目的遂行型SG」及び、農村コミュニティにおける持続可能な観光地域づくりの中に組み込まれている「テーマ型SG」の活動を中心に、小規模住民組織を単位としたコミュニティ開発の特性について、分析・検証を試みている。加えて、本研究の成果をわが国の観光地域づくりの計画における代替可能性を模索しており、これまでに、東日本大震災の被災地である岩手県釜石市根浜地区、熊本県サイハテ村、北海道清水町、石川県中能登町などにおけるコミュニティツーリズムやエコビレッジ、関係人口構築に関する実態把握を実施している。こうした国内事例も加えて、小規模住民組織を単位とした観光地域づくりの計画手法の構築を試みたいと考えている。 上記に関連する研究業績として、2023年度は日本観光研究学会査読付論文1本、地域活性化研究所所報1本、余暇ツーリズム学会での口頭発表4本、International Conference on Tourism Sciences2024での口頭発表3本、観光学術学会や日本観光研究学会の企画セッション2本、研究室のプロジェクト報告書2本、その他講演会やワークショップ等での口頭発表などの研究業績をあげることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、これまでの現地調査で得られた知見については、引き続き統計処理・分析を行い、それぞれの事例(目的遂行型SGとテーマ型SG)を比較検証し、小規模住民組織を通した持続可能な観光地域づくりの方法論を構築していく。その上で、本研究課題は、これまでにタイを主な調査対象地域として進捗させてきたが、最終的にはアジア地域における持続可能な観光地域づくりの開発手法として構築し、わが国の観光地域づくりの施策に活かしていくことで、次世代に対して自らの豊かな暮らし方の選択肢を与えていくことがウェルビーイングやレジリエンスの観点からも重要であると考えており、2024年9月には科学研究費助成事業(科研費)基盤研究(B)に継続課題として応募したいと考えている。 2024年度の現地調査については上記の「現在までの進捗状況」に記述したことに加えて、テーマ型小規模住民組織の特性を分析するためのデータを収集したいと考えている。本研究における主な調査目的は(1)展開事例において事業化するに至った経緯(意思決定プロセス、その理由等)を明らかにする、(2)展開事例における小規模住民組織の組織化の背景、活動実態、運営方法等を明らかにする、(3)当該事例におけるテーマ型SGを通した地域資源の評価手法や活用方法を明らかにする。なお、2022年度同様に、国内におけるテーマ型SGによる観光地域づくりと関係人口構築に関する展開事例(岩手県、熊本県、石川県等)の調査も継続的に実施していく。その上で、小規模住民組織を単位とした観光地域づくりの計画論に関する検証を行い、その計画手法の構築を試みる。
|