Project/Area Number |
21K12486
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80020:Tourism studies-related
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
川又 啓子 青山学院大学, 総合文化政策学部, 教授 (00306854)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | メガマーケティング / eスポーツ / ビデオゲーム / スティグマ製品のマーケティング / ゲームイベント / ゲーム / 社会課題解決 / ユニバーサル・スポーツ / マーケティング / 社会的価値 / スティグマ製品 / 観光 / 地域活性化 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題「メガマーケティングによるゲーム/eスポーツの社会的受容促進に関する研究」は,令和3年度から6年度にかけて,以下のとおり実証的に遂行する予定である。 【1】メガマーケティング戦略,スティグマをもつ製品の意味変容,マーケティング・エクセレンスに関する文献研究(令和3年度) 【2】eスポーツの取り組みで先行する国内事例の現地調査(令和4年度) 【3】ゲームに関する海外大規模イベントの視察(令和5,6年度) 【4】メガマーケティング戦略の有効性の検証と国内外の学会での成果報告(令和5,6年度)
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年5月には日本でも新型コロナウイルス感染症が一定の終結を迎えた。eスポーツの経済的側面はコロナ禍で大きな打撃を受けたため、国内のeスポーツの社会的側面を探求し成果をまとめた(『eスポーツ社会論』同友館)。本書に関連する公開シンポジウムと日本広告学会で発表の機会を得て、産官学の参加者と議論を深めることができた。 日本独自のeスポーツの展開として社会福祉施設での大会開催があげられるが、運営団体の関係者へのインタビューからは、想像を超える予算面での厳しさが明らかになった。また、鹿児島国体のeスポーツ大会の決勝戦も視察したが、商業施設の入口を使っての開催であった。初回(2019年)の茨城大会の盛り上がりとはまったく異なる状況である。しかし、年度末になりeスポーツ関連の団体や地方自治体から問合せを受けたことから、社会的側面では新たな展開が期待できると考えている。 つぎに、国内外の主要ゲームイベントに焦点を当て、その社会的役割を検証した。具体的には、gamescom(ドイツ・ケルン)、東京ゲームショウ(日本・東京)、Paris Games Week(フランス・パリ)を視察し、それらがもつBtoB及びBtoCのマーケティングツールとしての機能、オフライン交流の重要性、新たなエンターテインメント形式としてのゲーム実況の台頭など、ゲームイベントの変化を詳細に観察した。2023年には世界最大のゲームイベントであった米国のE3が終了したが、コロナ禍を経てリアルイベントの役割の再定義が求められていることが分かる。 なお、2023年は任天堂ファミリーコンピュータの発売から40周年であり、Japan Expo(フランス・パリ)でも同社が大規模なブースを展開していた。このイベントでは日本だけでなく、韓国や中国のゲーム企業も来場者の人気を博しており、国際的な競争が激化している様子がうかがえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国内外の視察を再開できたことによって研究は大きく進展したと考えている。ゲーム関連イベントの視察によって、ゲーム/eスポーツを取り巻く環境を再確認することができたのが最大の収穫だった。とりわけ、ドイツ(ゲームプラットフォーマー)とフランス(映画協会、アニメ制作専門大学院)への聞き取り調査からは、投資先としてのゲーム、経済政策としてゲーム産業という積極的な姿勢が窺えて大変刺激的だった。日本のゲーム産業とはまったく異なる視点である。 つぎに、国際大学における公開コロキアムへの登壇を機に、自治体や法曹界の関係者によるコロナ禍後のeスポーツの展開への期待を理解することができた。また、eスポーツ関連団体との会合を通して、当初の米国におけるeスポーツの位置づけを確認できたことも大きな収穫だった。これらのことは「日本型eスポーツ」研究を深耕するために重要な視点を提供してくれた。 なお、学会報告で明らかになったのは、eスポーツ研究に興味をもつ学生が少なからずいるということである。聴講者(大学教員)はいずれもほとんどゲーム/eスポーツには知識や関心がないものの、「ゼミの学生の関心」を参加理由にあげていた。この興味・関心の高まりが将来の研究や教育に新たな展開をもたらす可能性があると思われる。 〈成果物〉 書籍『eスポーツ社会論』同友館(2023年7月)、紀要論文「ゲーム産業における新展開ーーゲームイベント視察報告」(2024年3月)、報告書「日本型eスポーツ/ゲーム・イベントの海外展開に関する実態調査」2023年度 ACL研究プロジェクト成果報告書(2024年3月)、学会報告「新しいメディアとしての「eスポーツ」の可能性に関する試論」第54回 日本広告学会全国大会 報告(2023年11月)、公開コロキアム「eスポーツはこれからの社会をどのように変えるか」国際大学(2023年10月)
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はこれまでの研究をまとめて論文として公表し、次のステップへの模索を行う予定である。 (1)「観る」ゲームに関する文献調査:業界構造の問題点の識別 新型コロナウィルス感染症により、日本におけるeスポーツは当初の予想とは異なり、産業面では大きく成長したとはいえない。日本は「コンソール型」の産業構造をもつと指摘されるが、PCやスマホといったデバイスの問題だけではなく、そもそも大手ゲーム会社が「eスポーツ」に対して消極的であることも普及を難しくしている。関連団体の構造も複雑で、海外勢とは異なる展開にならざるをえなかった。しかしながら、ゲームで「遊ぶ」だけではなくゲームを「観る」人々の存在はもはや無視できない規模になっており、ゲーム配信の人気はその証左である。このような視点から、「観る」ゲームについての日本の大手ゲーム会社の動向について、公刊資料や市場レポートからドキュメント分析を行う予定である。 (2)eスポーツの社会的側面に関する聞き取り調査:阻害要因の特定 地域活性化策としてeスポーツの活用を検討している自治体(東京都23区特別区)への聞き取り調査を行う予定である。また、過去に実施したeスポーツと部活に関する研究会で得られた知見を発展させて、学校教育への普及を目指す団体への聞き取り調査を行う。 (3)ゲーム/eスポーツ関係のカリキュラム開発:文化、産業、メディアからの接近 「7.現在までの進捗状況」でゲーム/eスポーツに関する学生の関心の高さについて言及したが、所属学部(総合文化政策学)での開講を見据えてカリキュラムの開発を試みたい。2020年度から21年度にかけて実施した大手ゲーム会社との共同研究の成果を教育に還元する方法について検討する予定であるが、文化(政策)、産業(政策)、メディア(プラットフォーム)としてのゲーム/eスポーツという視点から接近する。
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