中性子その場観察による水素貯蔵材料内の残留水素の挙動と拡散経路の可視化
Project/Area Number |
21K12534
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
岩瀬 謙二 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (00524159)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 中性子回折 / 重水素化物 / Rietveld解析 / PDF解析 / 水素貯蔵材料 / 量子ビーム |
Outline of Research at the Start |
本研究では、大強度陽子加速器施設内の中性子回折装置とその場観察測定(In-situ測定)を活用し、Ti-Cr-Mo固溶体合金の吸蔵放出特性をフルに引き出すために“残留水素が占有するサイト及び占有サイトを形成している金属原子(Ti,Cr,Mo)の分布”を突き止めることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度にbcc固溶体合金の重水素化物中性回折データを用いてRietveld解析およびPDF解析を実施した。Ti45Cr25Mo30D150, Ti45Cr25Mo30D70, Ti50Cr20Mo30D160, Ti50Cr20Mo30D70の結晶構造および局所構造を精密化した。水素吸蔵前のbcc構造から、最大吸蔵時にCaF2-type構造に構造変化することを捉えた。水素が残留した相では、bcc構造を有することが分かった。Ti45Cr25Mo30D150とTi50Cr20Mo30D160内の重水素は、CaF2-type構造内のTサイトを占有し、占有率は75~89%に達した。単位格子は、水素吸蔵前と比較して39%程度等方的に膨張していることが得られた。水素が残留したTi45Cr25Mo30D70やTi50Cr20Mo30D70では、残留水素はいずれもTサイトを占有することが分かった。Ti45Cr25Mo30D70に関して、Tサイトをスプリットしたサイトモデルを用いて解析した結果、一番良い解析フィットを示したことから、水素がTサイトの中央からずれた位置を占有していることが推察された。 PDF解析の結果から、Ti45Cr25Mo30D150とTi50Cr20Mo30D160内の重水素の周辺金属の配位数を調べた。Ti,Cr,Moの配位数は、試料の組成比の割合とほぼ等しいことが分かった。Ti45Cr25Mo30D70やTi50Cr20Mo30D70内の残留水素の周辺金属の配位数について、Tiの平均配位数は2以上を示し、Tiが2個以上含まれる四面体サイトを占有していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rietveld解析による水素の占有位置、PDF解析による残留水素周辺の金属原子の配位数を定量化することができた。 前年度に測定したbcc固溶体合金(水素が残留する試料)との比較を行うため、2022年度には、追加実験として水素が残留しない合金試料の測定を検討していた。電気代の高騰により、大型実験施設の運転日数が削減されたため、水素が残留しない合金試料の測定が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、Ti-Cr-Mo系合金のMEM解析を実施する。MEM法を用いて、重水素物相(Ti45Cr25Mo30D160, Ti45Cr25Mo30D70, Ti50Cr20Mo30D160, Ti50Cr20Mo30D70)内の重水素の核密度分布を可視化する。核密度分布の変化から、水素の拡散経路や残留水素が形成される過程を明らかにする。MEM解析の際に、2021年度・2022年度に実施してきたRietveld解析、PDF解析の結果を導入し、より精度の高い拡散経路の可視化に臨む。 2022年度に追加実験として検討していた水素が残留しない合金系(希土類‐Co系金属間化合物)の重水素化物の中性子回折実験を実施する。Ti-Cr-Mo系と同様にMEM解析まで実施、水素の拡散経路を可視化する。 水素が残留しない合金系と水素が残留する合金系の結果を比較し、精密な拡散経路および水素拡散を律速する構造学的因子を明らかにする。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)