非金銭的インセンティブによる地域課題解決のためのシステムデザインの検証
Project/Area Number |
21K12554
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90010:Design-related
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
塩津 ゆりか 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (60599182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下原 勝憲 同志社大学, 理工学部, 教授 (10395105)
荒井 壮一 秋田大学, 教育文化学部, 講師 (10633761)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 利他主義 / ゲーミフィケーション / 非金銭的報酬 / エージェントの多様性 / 非金銭的インセンティブ / 地域課題の可視化 |
Outline of Research at the Start |
ゲームではない事柄にゲームの要素を取り込み、参加や継続を推進することをゲーミフィケーションという。例えば歩数をポイントに換算し、集めたポイントを電子マネーや商品に交換することで継続的に運動するプログラムがある。しかし、これらのプログラムの運営は多大なコストがかかり、持続的な方法とは言いがたい。特に地方自治体が運営主体となる時、予算上、採用が困難な手法である。 本研究では、独自に開発した地域課題可視化・共有アプリを用いて、ゲームへの参加継続手段としての「寄付」に着目し、住民の日常行動をポイント化し、ポイントが価値交換機能を持たなくても地域課題の解決につながるかをフィールド実験によって検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2021年度フィールド実験のデータを分析した結果、経済的価値がないポイントを使って非匿名でポイントを寄付する場合、時間が経過すると寄付は起こりにくくなることがわかった。すなわち、ゲーミフィケーションのメカニズムのうち、個人の利他主義に基づき、寄付やチャリティといったメカニズムでは、たとえポイントに経済的価値がなくても地域での活動率向上に寄与しないと考えられる。この原因として、匿名性が担保されていないことが考えられる。よって、時間経過によらず、地域内でコミュニケーションを活性化させるためには、匿名性の担保や別のゲーミフィケーションのメカニズムが必要であることが明らかとなった。この成果は国際学会で報告した。(HCII2022、SICE2022) これまでのフィールド実験の結果を考慮して個人の年齢や性別、性格、地域内での他者とのコミュニケーション活動実施率(以下、活動率と表記)をシミュレーションモデルに実装した結果、活動率が50%以下となると、シミュレーションモデルが発散し、活動率が70%以上になると定常状態に到達することが示された。この成果は国際学会と国内学会で報告した。(SICE2022、知能シンポ2023) これらの研究成果から、ゲーミフィケーションのメカニズムのうち、利他主義に基づく寄付は非匿名では実行されにくく匿名化の必要があること、地域での活動率向上には寄付以外のメカニズムの試用が示唆された。さらに活動率は70%以上が必要であることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の工程表どおり、2021年度実施のフィールド実験に基づいたデータ分析を行い、論文を執筆の上、国際学会で2回報告を行ったこと、またシミュレーションモデルを改良して国内学会で報告を行ったため、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度にフィールド実験の対象者を若年層、他地域に拡張して実験を行った。このデータを分析して、2023年度に国際学会で報告する予定である。 ゲーミフィケーションのメカニズムのうち、ランキングを導入して各自の競争心に訴えられるか、またそれ以外にもアプリの改善点を知るために、フィールド実験参加者に対して事後アンケートを実施する。これまでにも一部の参加者からランキング表示とリワードの提案があったため、並行して独自開発のアプリにポイントランキング表示を行うため、2023年度前半に機能実装できるよう、ポイントデータのクレンジングおよびランキング表示自動化プログラムを開発する。実装ができ次第、ランキングが地域内でのコミュニケーションの活動率向上に寄与するかをフィールド実験で確認する。 また、ゲーミフィケーションのメカニズムに関連する動機を決定する個人の属性や個性に関するパラメータを精緻化し、フィールド実験の結果と整合的なシミュレーションモデルの開発を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(19 results)