繰り返し引張ひずみを受けた神経細胞の損傷・修復メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K12624
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90110:Biomedical engineering-related
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中楯 浩康 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (10514987)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 軸索損傷 / Tauタンパク質 / リン酸化 / ひずみ負荷 / 電気刺激 / 慢性外傷性脳症 / 頭部外傷 / 脳振盪 / 脳震盪 / 神経修復 / 衝撃ひずみ |
Outline of Research at the Start |
コンタクトスポーツで多発する脳震盪は一過性の脳機能障害であり,受傷直後に症状が改善したように見えるが,短期間に繰り返して同様の衝撃を受けると認知症を引き起こす.これまでに,頭部が衝突する際に脳内の神経細胞が受ける引張ひずみを模擬した実験系において,脳震盪と同程度の弱衝撃を繰り返し神経細胞に負荷すると,損傷した神経細胞が増大することを示してきた.本研究では,損傷した神経細胞を電気刺激することでその修復効果を検証する.さらに,引張ひずみ負荷による機械的損傷のメカニズムと,損傷した神経細胞の電気的修復のメカニズムを,ELISAなどの分子生物学的手法を用いてタンパク質発現レベルで明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
繰り返される軽度外傷性脳損傷は, 高次機能障害などの神経変性疾患を引き起こす. この時, 脳神経細胞では軸索損傷による輸送障害や細胞死が確認されており, 輸送障害の一因とされているのがTau・リン酸化 Tau タンパク質である. 損傷機序は解明されている部分が多いが, 有効な治療法は殆どないのが現状である. 本研究では, 繰り返し軽度外傷性脳損傷を模した衝撃負荷による Tau タンパク質の発現増減やリン酸化に電気刺激が与える影響を in vitro 実験系で示し, 神経損傷への電気刺激の有用性を明らかにする. 軸索損傷モデルには, PDMSチャンバー上に培養した脳神経細胞に対して, 軸引張装置を用いてひずみを負荷した. また電気刺激は300 mV/cm, 20 Hz の二相性パルス波を 15 分間印加し, これらを5日間繰り返し行った. 評価はウエスタンブロッティングによる発現量,免疫蛍光染色による形態観察によって行った. 結果, 細胞内のリン酸化 Tau の減少が確認され, 電気刺激の抑制効果が示された. さらに電気刺激を与えた場合は, 破断した軸索および正常な軸索へのリン酸化Tauの発現量が与えていない場合と比較して減少しており, 抑制効果は重度の形態的損傷と非形態的損傷部位に有用であると考えられる. したがって, 電気刺激はリン酸化 Tau による Tau のリン酸化拡大の抑制に有用であるといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,繰り返し軽度外傷性脳損傷のin vitro実験系を構築し,Tauタンパク質のリン酸化に対する電気刺激の有用性を検討することができた.実験系を構築するにあたり,長期間の細胞培養方法や,電気刺激条件を検討した.リン酸化Tauタンパク質の観察に用いた免疫蛍光染色法はこれまでにも実施経験があり同様の手技を用いた.今後より定量的にリン酸化タンパク質を測定するため,ウェスタンブロッティングによる細胞内タンパク質量比とELISAによる細胞外タンパク質濃度を評価していく.測定手技の習得を現在進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き繰り返しひずみを負荷した脳神経細胞への電気刺激実験を実施する.本年度において,Tauタンパク質のリン酸化に対する電気刺激の有用性を定性的に示したので,より定量的に電気刺激の有用性を示すため,リン酸化Tauタンパク質量を評価していく.ウェスタンブロッティングによる細胞内タンパク質量比とELISAによる細胞外タンパク質濃度を測定し,ひずみ負荷,電気刺激と,Tauタンパク質の過剰発現,Tauタンパク質のリン酸化,Tauタンパク質の細胞外漏出の関係を明らかにする.
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)