Project/Area Number |
21K12756
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90140:Medical technology assessment-related
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
岸野 智則 杏林大学, 保健学部, 教授 (20343478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 直弘 杏林大学, 医学部, 講師 (10406986)
田中 利明 杏林大学, 医学部, 助教 (80407006)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 超音波 / 生活習慣病 / 血液検査 / 炎症 / 脂肪 / 脂肪肝 |
Outline of Research at the Start |
身体の脂肪が増えると、脂肪組織から出る生理活性物質 (サイトカイン) が変化して生活習慣病の病勢が強まることを、超音波検査を用いて明らかにしてきた。本研究は、Shear Wave Elastography (SWE)をはじめとする、超音波の新たな技術で脂肪の炎症の程度を計り、病勢を知る新たな方法を確立する。①脂肪組織のSWEなどが全身の炎症性サイトカインと関連すること、また、②病勢を最も反映する脂肪組織の場所を明らかにする。更に、③脂肪組織のSWE値などを計測することで、生活習慣病の病勢や合併症の起こる危険性がわかる方法を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超音波検査で生活習慣病の程度を診ることを目的とした。 脂肪組織をはじめとする脂質は、生活習慣病の発症や合併症の併発など、その病勢と密接に関係する。身体の脂肪が増えると、脂肪組織から出る生理活性物質 (サイトカイン) が変化して生活習慣病の病勢が強まることを、超音波検査を用いてこれまでに明らかにしてきた。血液中の炎症性サイトカインなどでみてきた生活習慣病の病勢を、超音波検査で捉えることができれば、肉体的苦痛となる血液検査を強いることなく、病勢を評価し合併症の出現する危険も予知することができるのではないかと期待している。 このように超音波検査には、単に画像診断にとどまることなく、生活習慣病の病勢を反映する炎症をみる手段としての新たな可能性を考えている。生活習慣病の合併症の一つである脂肪肝は、肝細胞質内にトリグリセリドを中心とする脂質が蓄積して腫大する。肝臓の炎症を反映し、肝細胞傷害を示す血液検査のALT値上昇が、しばしば脂肪肝患者においてみられる一方、肝細胞傷害を示さない脂肪肝患者もいる。持続的な肝細胞傷害は肝臓の線維化を招き、延いては肝硬変や肝臓癌の合併、他にも動脈硬化の進展との関連性が報告されている。そのため、この違いを超音波検査で明らかにできないかと考えた。 具体的には超音波検査を用いて、1)脂肪組織の所見が炎症と関連すること、2)病勢を最も反映する脂肪組織の部位を明らかにすること、更には 3)合併症の一つである脂肪肝における肝細胞傷害の存在を疑う方法を確立することなどを予定した。 令和4年度までに、病勢を最も反映する脂肪組織の部位を報告し、更に令和5年度には、合併症である脂肪肝における肝細胞傷害の有無を判別する超音波検査指標が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、身体の中で生活習慣病の病勢を最も反映する脂肪組織の部位が腹部内臓脂肪であり、次いで心外膜下脂肪であることが明らかとなり報告した(Metab Syndr Relat Disord 20: 148-155, 2022)。更に、合併症である脂肪肝における肝細胞傷害の有無について、超音波検査所見から推定する指標が確立され報告した(Laboratory Medicine International 2: 30-38, 2023)。今後、脂肪組織などの超音波所見が各種炎症マーカーと関連することも明らかになれば、超音波検査所見から生活習慣病の病勢や合併症の起こる危険性のわかる方法も確立することができるのではないかと期待し、研究期間を1年間延長し、現在もデータの集積に努めている。今後も研究成果が得られ次第、逐次報告していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
「超音波検査の新技術で生活習慣病を診る」 これまでの研究にて、1) 腹部の内臓脂肪・皮下脂肪・腎周囲脂肪・心臓周囲の心外膜下脂肪などについて、生活習慣病の指標となる血液生化学検査値と比較検討した結果、身体の脂肪の部位により生活習慣病の病勢と関連性の強さが異なっており、特に、腹部の内臓脂肪や心臓周囲の心外膜下脂肪が、血液生化学検査値から推定される病勢と相関性の強いことが明らかになった。2) また、生活習慣病の合併症の一つである脂肪肝において、血液生化学検査の一つ、ALT値が示す肝細胞傷害の存在について、超音波画像所見から推定する指標も明らかになった。今後は、脂肪組織の超音波検査計測値から、生活習慣に伴う種々の病勢との関連性を評価してその相関性を検討するとともに、生活習慣病の予測指標の確立に向けて努力する。令和6年度以降も継続的に対象となる集団のデータを蓄積しつつ更に検討を進める。今後の研究成果についても、結果が得られ次第、逐次種々の機会で報告していく予定である。
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