Project/Area Number |
21K12799
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90150:Medical assistive technology-related
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
星 憲司 東北医科薬科大学, 薬学部, 非常勤講師 (20405913)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 服薬アドヒアランス / LPWA / LoRa / IoT / 医療用デバイス / 服薬モニタリングシステム / Bluetooth Low Energy / コンピュータネットワーク |
Outline of Research at the Start |
研究代表者らは、患者の適切な医薬品の服用をサポートするため、患者が容器から医薬品を取り出した時刻を無線通信 BLE(Bluetooth Low Energy)を使って薬局にリアルタイムに送信する服薬モニタリングシステムを開発した。 このシステムの現在の課題は、BLE を利用した通信距離が短いため、通信を中継するためのインフラが必要なことである。 そこで本研究では、より長距離の通信が可能な新しい無線通信技術を用いてメッシュ状の無線ネットワークを構築し、通信回線のインフラを持たない薬局や患者の自宅でも利用可能な実用的な服薬モニタリングシステムを開発する。またその効果を実験で検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
医薬品が効果を十分に発現するためには、患者が処方を理解して正しく服用すること、すなわち服薬アドヒアランスの改善が重要である。しかし在宅で治療を行っている患者の服薬遵守率は低く、大きな問題となっている。 本研究は小型の無線装置を利用して、在宅で治療中の患者の服薬状況をモニタリングして医療機関に通知できる実用的なシステムを開発し、服薬アドヒアランスを改善することを目的としている。2023年度は前年度に引き続き、課題となっている通信手法の確立と、小型軽量の機器でも十分な期間動作するシステムの作成に取り組み、下記の(1),(2)の成果を得た。 (1) 屋内と屋外の実際に利用する環境での通信可能距離と安定性、障害物の影響を調査した。無線通信プロトコルに、LPWA (Low Power, Wide Area) の一種であるLoRa (Long Range)に加え、ZigBeeとEnOceanを使用して電波の強度を測定し、結果をIDW (Inverse Distance Weighting) 法で可視化して比較した。その結果、固定ノードを配置することで安定した通信を実現できることを確認した。また、通信可能距離は短いが消費電力が小さく、エナジーハーベスティングによって稼働できるという長所を持つZigBeeとEnOceanをLoRaと併用して、補助的に利用する方法と限界を確認した。 (2) システムを患者が自由に携帯できるようにするため、前年度に開発した小型・軽量化した電源回路で十分な稼働時間が得られるように、システムの起動からスリープまでの消費電力の変化を計測してシステムの省電力化を行った。これまでソフトウェアで行っていたP2Pの暗号化をハードウェアで行うことで高速化し、一回の通信時間を短縮して消費電力の低減を行った。また、タイマモジュールを使用して長期間の間欠動作ができるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度までの研究で、通信距離に制限のある条件下で実用的な服薬状況のモニタリングと通知を行うためには、空間的に通信の中継を行う方法と、時間的に通信内容を蓄積して、通信者の位置関係が変化して通信可能になった段階で適切に再送を行う方法を併用することが効果的であることが分かった。そのような通信上の工夫を行うためには実環境での通信の実験が必要だったが、前年度までは新型コロナウイルスの感染対策の制約のため十分な実験が行えなかった。そこで今年度は、屋内と屋外の実際に利用する環境で、通信可能距離と安定性、障害物の影響を調査し、上記の通信機構を実装するために必要なデータを得ることができた。 また、前年度までの電源回路の検討によって、小型で安全な一次電池のみを使って、服薬モニタリングシステムを駆動することが望ましいことが分かった。しかしシステムを患者が携帯できるようにした上で十分な稼働時間を確保するためには、さらなる省電力化が必要になるため、今年度はよりエネルギー消費の小さい通信ハードウェアを使用して通信実験を行い、利用の可能性を検討した。また、長期間の間欠動作を行うことで必要な時以外はスリープ状態を保ち、かつ暗号化機能を持ったハードウェアを使用することで、一回あたりの動作時間を短縮して、エネルギーの消費を低く抑えることができた。 システムの完成に必要なデータを得ることができたが、上記の通り実験できなかった期間があり、実装には至らなかったため、研究は計画よりやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
システムの完成に必要なデータを得ることができたため、これを利用して服薬モニタリングシステムの実装を行う。医薬品のパッケージに LoRa モジュールを搭載してマイクロコントローラで制御し、服薬情報を記録・送信できるようにする。また、通信インフラが整っていない環境で利用できるようにするため、空間的な通信の中継と、時間的な通信内容の蓄積・再送を実装する。また間欠動作による省電力化を実装する。そのために、マイクロコントローラのファームウェアを改良する。 作成したシステムを使用して、実証実験を行う。服薬情報の受信装置とデータを記録するサーバを用意し、2週間の服薬期間を想定して、期間中の服薬情報が適切に通知・記録できたかを検証する。複数の通信条件での実験を行い、直接の通信ができない場合には、適切に中継ができていることを確認し、その場合にサーバ側で服薬状況が確認できるようになるまでにどの程度の遅れが発生するかを実環境で評価する。
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