Project/Area Number |
21K12824
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朱 喜哲 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 招へい研究員 (50844908)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 言語哲学 / プラグマティズム / 倫理的・法的・社会的課題(ELSI) / 推論主義 / society5.0 |
Outline of Research at the Start |
言語哲学における「推論主義」の立場から、科学技術の社会実装に際する人文社会科学分野の貢献として重視されつつある「倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI:Ethical, Legal and Social Issues)」領域に独自の貢献を行うことを目指す。 推論主義は、私たちの推論実践の場すなわち「理由の空間」に注目し、そこで隠伏的に流通する多様な概念の意味を明示化する理論である。これを応用することで、ELSI領域におけるS(社会課題、世論)に隠伏的なE(倫理/普遍的価値)の明示化、あるいはL(立法)の前提となるE(規範)の分節化などを提供し、議論環境を整備する理論的基盤をつくる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、二〇世紀後半における「プラグマティズム言語哲学」の中心的人物であるリチャード・ローティおよびその影響下で「推論主義」を展開するロバート・ブランダムらの文献的研究を念頭に、その社会実装に関わる課題を取り扱ってきた。それに際して、理論的研究とその社会実装に関わる応用的研究の両輪を推進してきた。両者に通じるのは、「理由による正当化」をコミュニケーションの中心に位置づける推論主義的な言語哲学アプローチという方法論を、現実に適用し、理論に適宜修正を加えるという営みである。 まず、理論的側面においては、近年急速に進んでいるアメリカ哲学史の見直しにも棹差しつつ、一九世紀末から二〇世紀にかけてのプラグマティズムの潮流の位置づけの見直しに取り組んだ。ひとつには、従来ではいわゆる論理実証主義などを擁した分析哲学と敵対してきたプラグマティズムという旧来の描像が否定されつつある動向に関連して、分析哲学とプラグマティズムを統合的になった領域の再定義を進めている。また、他方でアメリカにおけるドイツ観念論からの連続性を再評価する動向もある。この二点にまたがって、プラグマティズム言語哲学を再評価する研究を共同で推進し、関連書の批判的検討などを実施した。 ついで、社会実装の側面においては、人文社会科学分野の役割として注目が高まっている「ELSI(倫理的・法的・社会的課題)」から多くの研究実績を残した。単著三冊、共著二冊、およびアウトリーチ活動にも寄与する公共放送での哲学解説番組出演などの成果が達成されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対面での学会参加や研究会実施も徐々に再開され、併せてリモートでの実施体制も拡充したことで、おおむね当初の想定どおりに進展している。 所属する大阪大学ELSIセンター側にも本領域への産業界からのニーズは多く舞い込み、具体的な事例に即しての研究が可能な環境も整備されており、本年度の公表成果としても複数の実績が出ているため、このような進捗状況と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
理論面においては、プラグマティズム言語哲学の潮流を整理し、この流れにおいて欠かせない役割を果たしたリチャード・ローティの業績を再評価し、ロバート・ブランダムらの今日的な研究動向を哲学史において位置づけた単著から、さらにその政治哲学的方向を模索する。 また応用面においては、ELSI領域での学際研究・産学共創研究での業績を公刊するとともに、ヘイトスピーチや陰謀論をはじめとした今日的な課題をともなう言説的事象について、理論に裏打ちされた課題の明示化に取り組んでおり、こちらについても次年度に単著を公刊予定である。
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