Project/Area Number |
21K12851
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
平野 和歌子 龍谷大学, 文学部, 講師 (60793106)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 三位一体論 / ペルソナ / ボナヴェントゥラ / フィリオクェ / 創造論 / キリスト教神学 / 西洋中世哲学史 / 三位一体 / 実体 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、十二世紀から十三世紀のキリスト教思想家や哲学者が論考した、三位一体のペルソナの関係について、精密なテキスト分析を通してその関係構造を解明する。それはこれまで西方教会では御父と御子と聖霊のペルソナよりも、神の実体の一性を重視してきたという、一般的な理解を再検討することにつながる。さらに、神の内的三位一体における関係を基盤として、神のペルソナ、特に第二位格のキリストと人間のペルソナとの関係が、いかにして体系的に論考されるのかを明らかにする。それによって、ペルソナの観点から十二世紀から十三世紀にかけての三位一体論研究を充実させ、ペルソナの関係構造の多様な理解を得ることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ボナヴェントゥラの三位一体論に関する前年度までの研究成果を土台とし、フィリオクェ問題や創造論に関連する論点について研究を進展させた。 フィリオクェに関して、ボナヴェントゥラの三位一体論は新プラトン主義的な流出論を基軸とするため、御父との関係上で御子に対して従属的権能しか認めない。しかしこの主張は、御父と御子の同等性や一性を損なう可能性があるゆえに、研究者らから批判を受けており、ここに解決を要する難点がある。以上は前年度までに見通しがついていたが、今年度は聖霊を含めた三位一体全体の構造を精査することで、いかにしてボナヴェントゥラが当該の難点を解消し、ペルソナ同士の一性を確保するのかを、その論理的な整合性を詳細に追いながら解明した。本研究では、ボナヴェントゥラが御父と御子を聖霊の一なる始源(unum principium)だとする議論、つまりフィリオクェの議論に着眼した。その上で、聖霊が御父と御子から発出した形相的な結果(effectus formalis)であり、かつそれが二者に内属するもの(inhaerens)ではないとされる点を指摘し、ボナヴェントゥラの場合はこれらの点が聖霊の発出において考慮されるがゆえに、三位一体全体の実体的な一性が確保されているとの見解を提示した。 さらに三位一体論と創造論との関連性は、御子が創造における御言とされることから議論するまでもないが、本研究の成果である三位一体論の特徴が、創造論に対していかに反映されているのかを検討することには意義がある。本年度は特に、ボナヴェントゥラの論考が万有在神論(panentheism)に類似するとの先行研究の指摘に基づき、それを御言の規定に関して考察した。そしてボナヴェントゥラが三位一体の動的な関係に即して、御言を態勢的な範型(dispositiva exemplaritas)として捉えることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で説明した通り、ボナヴェントゥラの三位一体論に関して各年度ごとに研究成果を積み重ねながら、着実にその解明を進められている。前年度の時点ですでに御子と聖霊の観点について概要を捉え、研究の方向性は定まっていたが、しかしさらに精密にテキスト分析を行い、ボナヴェントゥラの論考を体系的に整理することが必要であるとの判断から、まとまった研究成果として提示を目指す途上にあった。本年度はその過程を十分に経たうえで、可能な限りの緻密さを備えた論文として発表できたと自己評価している。 フィリオクェは歴史上、西方教会と東方教会がその支持をめぐって激しく対立したキリスト教神学における大問題である。とりわけボナヴェントゥラの場合、新プラトン主義的な流出論に依拠する点に東方の伝統的な特徴を認めることができ、それゆえ彼の三位一体論はアウグスティヌスの系譜に純粋に属するトマス・アクィナスの理論とは異なる、との重要な指摘が先行研究によってなされてきた。そのため、本研究が行ったボナヴェントゥラのフィリオクェに関する研究は、ボナヴェントゥラ自身の三位一体論の内部においてもその解明の意味があるのみならず、キリスト教神学や三位一体論の思想の系譜というより広範な問題に対しても、寄与しうる可能性がある。本年度の研究成果を活かし、このような広範な問題圏に関しても今後検討を重ねていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は三位一体論に固有な議論の範囲だけでなく、三位一体論と創造論との関連性についても考察を進めてきたが、今後も引き続き創造論やキリスト論といった関連テーマへと、研究を展開させていきたい。創造論では御言としての御子に焦点を当てたが、現時点ではキリスト論に関してはさらに検討を要する。加えて「現在までの進捗状況」で言及したように、キリスト教神学や思想の系譜といったより広範な問題圏に関しても、本研究がいかに寄与しうるのかを検討していきたい。また、2024年には延期されていた国際教父学会(International Conference on Patristic Studies)が開催されるため、そこでの発表を本年度のうちから準備してきた。この機会に、特にアウグスティヌスや偽ディオニュシオス・アレオパギテスの思想が、ボナヴェントゥラの三位一体論にいかに影響を与えているのかに関して、今年度の成果を踏まえて検討し、思想の系譜の問題についても一見解を提示できることを目指したい。
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