近代における禅越境の動態―釈宗演の門人・千崎如幻を中心として
Project/Area Number |
21K12852
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | Nanzan University (2022-2023) Kansai University (2021) |
Principal Investigator |
末村 正代 南山大学, 南山宗教文化研究所, 研究員 (60809664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 千崎如幻 / 欧米禅 / 近代仏教 / 鈴木大拙 / 西田天香 / 近代仏教史 / 禅 / 越境 / 釈宗演 |
Outline of Research at the Start |
近代において、日本仏教の諸宗派はさまざまな形で越境を試みた。こうした海外開教のなかで顕著な成果を見せたのが、主として欧米で受容された禅仏教である。禅の開教は他宗派のような組織的布教の形をとらず、複数の禅僧や居士によって比較的自由に展開された。 本研究は、近代における禅仏教の越境に着目し、その動態を鈴木大拙の師・釈宗演の門人の活動から考察するものである。主な研究対象として、従来の研究では看過された宗演門下の禅僧・千崎如幻を取り上げ、禅越境の内実とその活動の意義を実証的に解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀前半期の釈宗演門下による海外活動と彼らのネットワークの調査・分析によって、禅国際化における宗演門下の役割を実証的に解明することを目的とする。具体的事例として、当時アメリカ西海岸で約50年に及ぶ禅布教を展開した宗演門下の禅僧、千崎如幻を取り上げ、国内外の資料をもとにその活動実態や欧米人弟子との交流を描出することを試みる。大まかな計画を示すと、初年度に国内資料収集、二・三年度に国外資料収集、最終年度に資料の統合と包括的考察を予定している。 3年目の2023年度は、これまでの研究を取りまとめた千崎の伝記論文二篇、「千崎如幻の前半生と北米開教」(2023年5月『近代仏教』)、「千崎如幻の後半生と欧米人来日禅修行」(2023年10月『南山宗教文化研究所研究所報』)を執筆した。研究発表としては、2023年5月東アジア文化交渉学会で20世紀前半期の禅と心理学の関係、2024年2月東海/宗教史研究コンソシアム研究会で鈴木大拙における見性と心理学受容の関係、2024年3月井上克人先生追悼研究集会で禅的矛盾構文と井上克人の宗教哲学の関係をそれぞれ考察した。資料調査としては、2023年8~9月に、千崎と同時代に渡米した禅者・佐々木指月が開設したニューヨーク市・第一禅堂調査(継続)、千崎の遺品を管理するニューヨーク州リビングストン・マナーの大菩薩禅堂金剛寺調査(新規)、千崎が拠点としたサンフランシスコ・ロサンゼルス調査(継続)を実施した。また、2023年11月には、アメリカにおける現代の仏教美術を考察するため、現地で活動する現代美術家・絵仏師を招き、展覧会と講演会を企画・開催した。 最終年度である2024年度、調査に関しては、秋田・久米山常光院および青森各所の東北調査の仕上げ、成果発表に関しては、所属学会での論文投稿と研究発表、単著刊行、他科研との公開研究会の共催を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度内に予定していたアメリカ調査に関しては、ニューヨーク市・サンフランシスコ・ロサンゼルスの継続調査に加え、ニューヨーク州リビングストン・マナー(大菩薩禅堂金剛寺)で新規調査を実施し、多数の未公開資料の存在を確認した。成果報告に関しては、所属学会機関誌等に論文2本、翻訳1本がそれぞれ掲載された。研究発表は3回、研究会開催は1回であった。他方、年度内に予定していた東北調査を次年度に延期するという若干の停滞要素もあり、総合的には「おおむね順調な進展」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、前年度に予定していた東北調査の実施、所属学会での論文投稿や研究発表、他科研や所属機関と共催する公開研究会を通した成果発表を推進し、さらに本研究課題の総括として、千崎如幻とアメリカ禅に関する単著の刊行を進める予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(19 results)