パリ音楽院ピアノ科試験曲目データベース補完とオープンアクセス化(1842-89)
Project/Area Number |
21K12867
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Kyoto University (2022) Tokyo National University of Fine Arts and Music (2021) |
Principal Investigator |
上田 泰 (上田泰史) 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (90783077)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | パリ国立音楽院 / 試験曲目 / ピアノ教育 / レパートリー / 定期試験曲目 / 定期試験 |
Outline of Research at the Start |
この研究は、1842年から1889年に至るパリ国立音楽院ピアノ科で、どのようなピアノ曲が演奏されていたのかを明らかにするものです。この研究では、入学試験に合格した生徒たちがまず登録する「予科」(上級の専科に進むための準備クラス)と、現代の音大における「副科実技クラス」にあたる「鍵盤楽器学習科」で行われた定期試験の曲目を、当時の手書きの資料から抽出し、その傾向を分析します。この作業は、私たちが古典的な教材として扱っているピアノ音楽のレパートリーがどのように成立したのか、その過程を知る手がかりとなり、現在のピアノ教育を客観的に見つめ直す機会を与えてくれます。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1842年から1889年にかけて、フランスのパリ国立音楽院ピアノ科の予科で行われた学期末試験の演奏曲目データを、現存する公的史料から可能な限り収集し、統一的な演奏曲目データベースを作成することを目的としている。2023年度は、本研究の対象時期(1842年から1889年)から、前年度に入力できなかった部分について、曲目データ入力を継続した。本研究の対象であるピアノの「予科」と「鍵盤楽器学習科」のレパートリーの内、2022年度は次の史料から生徒名、曲目データの転写が完了した。 1)教授報告(年度末に各教授が院長宛てに作成する報告書):1862-1863年度から1869-70年度、1886-87年度から1889-1890年度 2)教育委員会議事録(定期試験の折に作成される議事録):1885-1886年度から1888-1889年度まで これにより、2022年度分とあわせて1862年から1889年までの教授報告および教育委員会議事録からのデータ入力が完了した。また、2022年度には、作曲家名やジャンルなどからの検索を可能にするために、1862年から1889年について、演奏曲目の統一標目を作成した。この期間のおおまかな傾向として、全体の半数強を占める作曲家は、出現頻度が多い順に、フンメル、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ウェーバー、フィールド、ショパンである。上級クラス(専科)では、フンメルは減少傾向にあったが、予科の重要なレパートリーとして残り続けたことが分かった。また、データ上では、フィールド作品がショパン作品よりやや多く見られた。その理由は、おそらくショパン作品の難易度が高いため専科ほどは重視されず、ショパン作品への導入的な位置づけとしてフィールド作品が演奏されていた可能性が考えられる。また、存命中の作曲家の作品が少ないことも、予科のレパートリーの特徴である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国際的な移動条件が緩和されたため、フランス国立古文書館で昨年度収集することのできなかった史料を集中的に撮影するなど、懸念していた遅れは生じなかった。現時点で入力が残っているのは、1842年から62年までの教授報告および教育委員会議事録、ならびに試験官によるメモである。ただし、1840年代と50年代の教育委員会議事録と教授報告には曲目の記録が少ないため、これら2種類の史料からの転写は終わりに近づいている。それゆえ、プロジェクトはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、本課題の最終年度である。「現在までの進捗状況」に記したように、1840年代と50年代の教育委員会議事録と教授報告からのデータ入力にはそれほど時間を要さないと見込まれるため、2023年度は試験官が試験中に書き残したメモの転写とデータベース公開準備に注力する(試験官によるメモの大半は2022年に史料を撮影することができた)。その後、曲目データの統一標目を完成させ、データベースを検索可能な状態にして公開する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)