Project/Area Number |
21K12881
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
安藤 さやか 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 研究員 (90807504)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 彩飾写本 / ヨーロッパ初期中世 / 写本画 / カロリング朝美術 / 典礼用写本 / 詩編挿絵 / イニシアル / 西洋中世美術 / 典礼書写本 / 詩編写本 / カロリング朝 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、西欧初期中世に於いて図像が担った役割について、カロリング朝期の彩飾写本に於ける〈音〉の描写という新たな視点から再検討するものである。研究対象は、カロリング朝期の西ヨーロッパで制作された挿絵入りの写本のうち、音の表象(楽器・朗唱・発話)を含む事例の多い詩編、黙示録、典礼用写本群とする。典礼改革が進められローマ聖歌が広められたカロリング朝フランク王国で、これらの写本の用途がどれほど図像に反映されたのかを考察するために、音の表象の類型化と図像分析とを行う。これにより、図像が果たした役割について新たな提言を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カロリング朝期の彩飾写本における〈音〉の描写を分析するものである。研究対象は主に、挿絵や装飾のある福音書、詩編、黙示録、そのほか典礼用書物等の写本である。2023年度は先行研究の精査と並行し、個別作例の研究と実見調査を行った。 個別作例研究については、まず福音書写本を中心に着手した。カロリング朝初期の福音書の主たる図像は著者像としての福音書記者像であり、楽器や声といった音に関連する図像は殆ど見られない。そのため、言葉の表象としての文字装飾、特に全頁大の装飾イニシアルを中心に分析した。この成果の一部として、カロリング朝初期の彩飾福音書写本である《エッセンの福音書》(エッセン、大聖堂宝物庫、Hs. 1)についての短報と、9-10世紀のコルヴァイ修道院の彩飾写本に於ける装飾イニシアルを展望する研究を紀要論文として刊行した。 また、2022-2023年度に引き続き、カロリング朝期の秘跡書(サクラメンタリウム)写本の装飾の分析を行った。この成果の一部は、論文集所収の論文として刊行した。 また、本年度は福音書・秘跡書写本を中心に、ミュンヘン、トリーア、ゴタ(ドイツ)で原資料の実見調査を行った。文書館や大聖堂宝物庫所蔵の写本には、大規模な研究図書館とは異なり、デジタル化されていない写本も多い。従来の研究では彩飾の一部が白黒で公開されていたのみの作例について、写本学的諸情報、色彩、未刊行の挿絵部分の図像を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度行った個別作例研究では、当初の研究計画の予定の派生物に重心を置いたため、「音の描写」という観点からの楽器や声の表象に関する分析は稿を改める形となった。また、夏に海外出張を行ったが、航空券・宿泊費の高騰のため、文献収集の予算を圧迫する結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、個別研究を中心に進める。本年度は装飾イニシアルに加え、挿絵についての分析を行う。 特に、典礼で発せられる詩編や福音書の言葉、固有文が、写本に於いてどのように書かれ/描かれたのかを分析する為に、典礼用写本の文字装飾の事例を集中的に収集し、類型化を行う。 併せて、個別作例研究を行う。対象とする作例は、以下を予定している:①詩編写本2点(アミアン市立図書館Ms. 18C;アンジェ市立図書館Ms. 18)。詩編挿絵に描かれる楽器と、対応する章句との関連についてを分析する。また、祈りの身振りの系譜を、写本挿絵以外のメディア(壁画、工芸作品等)を含めて比較する。②秘跡書写本3点(パリ国立図書館Ms. lat. 12050; 12051; Nouv. Acq. lat. 1589)。この3点は挿絵を持たず、もっぱら装飾イニシアルのみから成る。装飾イニシアルのかたちがカロリング朝初期から中期にかけてどのように発展したのかを観察し、その典礼上の機能を考察する。
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