旧帝国大学精神医療にみる近代日本音楽療法実践の諸相
Project/Area Number |
21K12911
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01080:Sociology of science, history of science and technology-related
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies (2021, 2023) Kyoto City University of Arts (2022) |
Principal Investigator |
光平 有希 国際日本文化研究センター, 総合情報発信室, 助教 (20778675)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 音楽療法 / 精神医療史 / 旧帝国大学 / 精神医学史 / 近代音楽療法 / 日本統治期 |
Outline of Research at the Start |
明治後期~昭和前期には、他領域に先駆けて精神科領域で治療の一環として音楽を用いる「音楽療法」が体系的に実践され始めた。当時、主導的役割を担ったのは旧帝国大学の精神医学講座や関連病院であり、その実践内容は「音楽療法実践記録書」や「病院年報」に記録され、史料群として各大学の後身機関を中心に現存している。本研究では、国内ならびに日本統治期の韓国と台湾に創設された全9箇所の旧帝国大学史料に焦点を当て、音楽療法関連一次史料を個別的・横断的に分析することにより、近代日本精神医療における音楽療法の実態と発展過程、さらに韓国や台湾といった東アジア諸国に与えた影響を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、東京帝国大学、京都帝国大学、東北帝国大学、九州帝国大学、北海道帝国大学、大阪帝国大学、名古屋帝国大学といった国内旧帝国大学精神医学病室に関する関連一次史料の翻刻作業と個別的・横断的分析を進めた。具体的には、音楽実践記録書や慰安会書類といった直接的な音楽療法関連史料のほか、挙動帳や病院年報、院内会報誌、学校史など病院関連史料も広く分析対象として横断的な考察に努めた。その結果、主として東京帝国大学精神医学病室所属医師が治療を担当した東京府巣鴨病院(後に松沢病院)を起点として明治末期に開始した音楽療法実践が、巣鴨病院関係者を通じて各地の旧帝国大学精神医学病室に伝播し、そこで根付いた音楽療法では、とりわけその土地の文化土壌に根差した音楽作品や芸能、楽器が重視されていたことが明らかとなった。 また、本研究の一環として、日本初の公立精神病院である京都癲狂院の医療ならびに音楽療法についても調査研究を進めている。実相を明らかにすべく、令和2年度より継続して創設に尽力した明石博高の関連史料を調査しており、令和5年度はその調査結果、とりわけ京都府立京都学・歴彩館に収蔵されている明石関連史料群を仮目録の形で報告・公開した(松田清・光平有希「京都府立京都学・歴彩館所蔵 明石博臣氏寄贈明石博高関係資料仮目録」『近世京都学会』第6号、pp. 119-149.)。連動して、近代京都における医療とお雇い外国人との密接な関連についても知見を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルス感染症の影響が未だ残る部分があり、一部調査に関しては次年度に遂行するよう予定を変更せざるを得なかった。また、当初予定していたよりも現存史料群が多く、その翻刻や分析に時間を要したことも一理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度中に調査ができなかった所蔵機関に関しては、令和6年度前半に調査ができるよう既に調整済であることから、速やかに調査および分析を行い、最終年度における研究成果発表に間に合わせるよう考察を進める。また、収集した史料翻刻については、近代の古文書解読経験者数名にも協力を仰ぎ、研究の効率化をはかる。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)