占領期の単行本出版と検閲の相補性に関する研究―北海道・九州の出版を視座として
Project/Area Number |
21K12912
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Rikkyo University (2022-2023) Hirosaki University (2021) |
Principal Investigator |
尾崎 名津子 立教大学, 文学部, 准教授 (10770125)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | GHQ/SCAP検閲 / 北海道 / 外地 / 検閲 / 引き揚げ / 地方出版 / 占領期 / 九州 / 青玄社 / 交文社 / 火野葦平 / 用紙統制 / 紙不足 / 文学 / 出版 / 地方 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、GHQ/SCAPによる単行本検閲の実態解明を目的とする。その際に、東京ではない地域に焦点を当てる。地方出版に関する研究は近年盛んであるが、GHQ/SCAP検閲との関係から、特に文学関連の単行本出版の実態を解明、意味付けようとする試みは未だ手薄である。ゆえに、この時期の出版活動を把握し、それがGHQ/SCAP検閲という言論統制を前提としてどのように編成されていたかを明らかにすることは、文学史やメディア史をより広範な視点から編み直すことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は以下のことを行った。 ①北海道立文学館での調査。本研究課題は占領期の単行本出版を、特定の地域の実態や状況と照応しつつ具体的に解明することを目的としている。単行本の出版実態を解明する上では、まずは当時の新聞雑誌メディアを博捜することが有効である。北海道立図書館には占領期の道内で発行されていた文学雑誌や総合雑誌を企図した雑誌の現物が保存され、閲覧可能である。2023年度の調査では、青玄社と交文社の雑誌を対象とし、それぞれの出版社が企図していた事業の内容やその狙いを解明しつつある。その成果は2024年度に複数公表する予定である。 ②国際フォーラムでの発表。第11回東アジアと同時代日本語文学フォーラム・バリ大会(2023年9月1日)にて、口頭発表「占領期における〈北海道文学〉の構想―交文社、青玄社の活動について」を行った。この内容は、本研究の目的の一つである、占領期における地方出版の実態を解明、意味付けることに寄与するものである。 ③海外の大学での発表。高麗大学校グローバル日本研究院の招聘を受け、2024年3月21日に「「引き揚げ」する〈蒙疆文学〉――石塚喜久三「纏足の頃」と占領期北海道の文学出版」と題した発表を行った。この内容は、本研究の目的にある、占領期の地方における出版活動の実態解明に寄与するものである。とりわけ、戦中の〈外地〉における出版活動が、占領期の北海道に与える影響を解明する端緒として、本報告は意義づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本国内での調査は順調に進展しているが、なお一層力を入れて取り組む必要がある。最大の課題は国外での調査である。アメリカ・メリーランド大学で新たに調査すべき事柄は把握しており、調査が急務となっているが、2023年度は渡航の条件が整わなかった。ただし、先方の関係者との連携は円滑であり、問題はない。コロナ以後の先方の様子、特に手続きや所蔵資料の扱いに関する変更点について聞き取りつつ、環境を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き各地での調査を着実に遂行する。また、2023年度より成果の公開を開始したが、未だ国外での報告、また、口頭発表にとどまっているため、今後は国内に向けても成果の発信を行い、また、論文や報告書の形で内容をまとめる作業に特に力を入れる。 内容の面では、GHQ/SCAP検閲の実際的な側面の解明に積極的に取り組み、過年度までに積み重ねてきた占領期の地方出版の実態と重ね合わせつつ、本研究課題の総合的な成果を挙げることを目指す。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)