宗碩を中心とした中世源氏学の実態解明に関する基礎的研究
Project/Area Number |
21K12936
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松本 大 関西大学, 文学部, 准教授 (30757018)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 宗碩 / 『萬水一露』 / 『源氏物語』 / 中世源氏学 / 古注釈書 / 享受資料 / 享受史 / 注釈書 / 享受資料研究 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、室町中後期に活躍した連歌師・宗碩を研究対象の中心に据えた上で、源氏学の成立・展開・継承という3点の基軸を、【1】宗碩の源氏学の成立基盤と学問的背景に関する研究、【2】『萬水一露』の基礎的研究、【3】宗碩の源氏学の継承・流布に関する考究、という三つの研究課題に落とし込み、並行的に研究を進めるものである。この三つの課題を通し、注釈書の増補改訂や新たな注釈書の作成という注釈活動の根源に、いかに対象者の存在が大きく関わっていたかを示し、中世源氏学の本質に迫ることとする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中世源氏学における諸注釈書の性質について、従来説で重視されて来なかった説の受け手(対象者)という視点を加えることにより、抜本的な捉え直しを行うものである。具体的には、室町中後期に活躍した連歌師・宗碩を研究対象の中心に据えた上で、①宗碩の源氏学の成立基盤と学問的背景に関する研究、②『萬水一露』の基礎的研究、③宗碩の源氏学の継承・流布に関する考究、以上の三点を統合的に扱っていく。 ①では、宗碩が、師である宗祇の源氏学をいかに継承し、発展させたのか、という点を把握する。具体的対象としては、宗祇の源氏学の始発である『河海抄抄出』『花鳥余情抄出』を中心的に取り上げ、宗祇晩年の著作である『雨夜談抄』『紫塵残幽』『源氏物語不審抄出』までも加え、現存伝本の基礎的調査や注釈内容の検討を行い、宗碩の諸著作との関連を解明する。 ②では、宗碩の源氏学を把握する際、最も基幹となる注釈書である『萬水一露』について、諸伝本の位置付けと、それに基づく本書の成立過程の再考、及び、注記内容の精査を通した本書の性格を再提示を行うものである。 ③では、説の受け手(対象者)という視点のもと、さまざまな『源氏物語』享受の実態を分析する。中心的な研究としては、『萬水一露』の享受の観点を中心に、地下の源氏学や諸学問分野に与えた宗碩の影響を明らかにし、室町後期から近世初期における、宗碩の源氏学の意義を提示を目指す。具体的には、『聞源抄』を用いた解析を行う。『聞源抄』の現存伝本に対する基礎的調査を行った上で、『聞源抄』が『萬水一露』を基盤に作成されていった過程を示すとともに、その意義を明らかにすることを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①に関しては、昨年度までの調査で得られた成果や画像データなどを使用し、宗碩や宗碩の師にあたる宗祇が記した源氏学関連の典籍について、引き続き基礎的な調査を加えた。今年度は、『河海抄抄出』と『花鳥余情抄出』の相関関係を見出せる事例をいくつか整理し、相互補完的な注釈書のあり方を認めることが出来た。この相互補完的というあり方は、注釈書を抄出して新たに編集し直す行為における、重要な動機になったのではないかとの見通しをつけることが出来た。この見通しを、より具体的かつ詳細に明らかすることが次年度の課題になるが、その前段階の糸口を掴めた点が今年度の大きな成果である。 ②については、当該研究の基幹資料と位置付けた、陽明文庫蔵本の基礎的考究をまとめる作業を行った。論文での成果発表にむけて、資料調査としても考究としても、やや不足した部分があることが分かったため、追加の調査・検討を行った。これらの成果については、次年度以降にまとめ直す予定である。 ③においては、『聞源抄』における『萬水一露』利用と考えられる複数の注記について、検討を加えた。ただし、明確に『萬水一露』利用が認められる箇所がある一方で、一概に利用を認定していいか判断に迷う箇所も多くあった。注釈書全体で考えるべきか、個別の注記で考えるべきか、結論を保留せざるをえない点も存在したため、次年度の課題としたい。また、本文に対する享受者の視点、特に可視化されて表現されていく本文について、いくつかの検討を行うことが出来た。昨年度以来、物語世界の再現化という課題に取り組んでおり、本年度も林原美術館蔵『伊源物語絵巻』に対する検討などをきっかけとして、大きく研究を進められ、また次年度以降に必要となる具体的な資料も把握することが出来た。 なお、本年度の研究成果は、一本の共編著と三本の論文、及び、一点の講演によって、その一部分を公開することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降の研究推進については、研究計画、研究方策ともに、当初の計画に基づきながら行うものとする。所蔵先への調査については、東京国立博物館・岡山大学・天理大学・林原美術館・陽明文庫を計画している。またこれまでと同様、必要に応じて適宜、国文学研究資料館所蔵のマイクロフィルム・紙焼写真をも用いることとする。 ①においては、本年度に引き続き、『河海抄抄出』に関する基礎的調査を行うとともに、『花鳥余情抄出』を含めた、両書に見える源氏学を統合的に把握することを目指す。 ②については、昨年度から引き続いて、『萬水一露』の成立過程や基本的な性格を明らかにすることを目的として、各種の調査・検討を加えていくこととする。特に、昨年度以来の課題である、松永貞徳の関与を詳らかにしたい。 ③に関しては、②とも連動させながら研究を進めていくこととする。なかでも、『萬水一露』利用の実態に関しては、天理図書館所蔵『源氏物語注釈』にその一端を見出せる可能性があると考えており、『聞源抄』を相対化させられることが十分に見込まれるため、当該資料への基礎的調査研究を中心に進めていくものとする。
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Report
(3 results)
Research Products
(14 results)