Project/Area Number |
21K12993
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Shinshu University (2022-2023) The University of Tokyo (2021) |
Principal Investigator |
中澤 光平 信州大学, 学術研究院人文科学系, 講師 (90824805)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 前鼻音化濁音 / 鼻母音 / 俚言 / 音節融合 / 式音調 / 無声化母音 / 屈折接尾辞 / 内省 / 祖語 / 日琉諸語 / 琉球諸語 / 与那国方言 / アクセント / 動詞 / 数詞 / 再建 / 日生方言 / 壱岐方言 / 命令・禁止表現 / 音変化 / 文法変化 / 方言 / 接触地域 / 分岐学 / 言語系統 |
Outline of Research at the Start |
本研究は日本語諸方言の接触地域の系統関係を明らかにすることを目的とする。具体的には、言語特徴を祖語からの伝承と他方言からの借用とに峻別する方法を確立するために、アクセント体系が異なる接触地域で現地調査を含むデータの収集・研究を行う。 日本には多様な方言が分布しており、方言をどのようにまとめるかという方言区画論の研究が古くからあるが、方言区画の認定は一様ではなく、特に区画の接触する地域において違いが大きい。接触地域は隣接する方言からの借用などの影響があり、基準とする特徴の選択によってどの方言区画に含めるかが変わってしまうためである。本研究ではこの問題に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下の(1)~(3)の研究を行った。 (1)現地調査。今年度は兵庫県淡路島で調査を行った。調査内容は前鼻音化濁音と鼻母音についてである。 (2)研究発表。単独で、日琉諸語(=琉球を含む日本の諸言語)についての研究発表を6件行った。 (3)論文・報告。単独あるいは共同で、日琉諸語についての論文・報告資料を4本公刊した。 今年度の研究成果のうち、主要なものについて簡単に述べる。1.音変化についての研究。音変化の動機が言語内的要因か言語外的要因かを俚言(=「牛」を意味するベコのように標準語に対応する形式がない語彙)に基づいて判定できる可能性;2音節が1音節に融合する変化の地域差;八重山語波照間方言における無声化と母音長の音韻解釈;京阪系アクセント(=京都や大阪と同タイプのアクセント)の諸方言の式音調(=アクセント単位全体に被さる音調の特徴)の通時的変化(=時間の流れによる変化)を扱うのに必要なパラメタ,について、それぞれ研究発表ないし論文化を行った。2.言語記述。与那国方言における重子音(=促音を伴う子音)と無声無気音(=息を伴わない無声音)の音韻解釈;高知方言の動詞活用における屈折接尾辞(=活用語尾)の配列と共起関係,について、それぞれ研究発表を行った。3.その他。日琉諸語の数詞体系;南琉球諸方言のアクセント体系における与那国方言と波照間方言のアクセント体系の位置付けと通時的解釈;内省と音韻解釈のずれ,について、それぞれ研究発表ないし論文化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は(1)現地調査の実施、(2)学会・研究会での発表、(3)論文・報告資料の公開、を行った。 (1)については今年度も新規地点での調査が行えなかったが、共同研究によって淡路方言の前鼻音化濁音と鼻母音の音響学的調査を行うことができ、呼気量についての詳細なデータが得られた。(2)と(3)について、方言間の系統関係を明らかにするという本研究課題に重要な通時研究を複数行い、変化の過渡期にある体系や世代差、内省との関係など多角的な観点から分析が行えた。その他、データの整理や分析など言語研究に必要な基礎資料の作成を進めることができた。 以上より、本研究課題の遂行に必要な新規の現地調査が今年度はほぼ行えなかったものの、資料の収集や分析については新たな観点から幅広く行えたことから、総合的な進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画についてはこれまでと変わりなく、(1)言語資料の収集、(2)収集したデータの分類、(3)分類に従った接触地域の系統関係の解明、を今後も進めていくが、(1)言語資料の収集のうち、現地調査によるものについてはかなり遅れているため実施計画の見直しが必要になる可能性がある。すなわち、当初の予定より新規の調査地点を減らし、少ない地点で重点的な調査を行う方向に変更することを考える必要がある。具体的には、新規の調査地域として予定している佐渡島周辺と周防大島周辺のどちらか一方で調査を行い、その分析を行うというものだが、可能な限り両地点での調査を行う方向で計画を進めたいと考えている。 既調査分のデータの資料公開(学会・研究会発表と論文化)については、2024年度が最終年度であることから可能な限り2024年度中での実施に努めるが、(1)言語資料の収集の状況によっては研究期間の延長などを視野に入れる必要がある。
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