現代中国語の変化叙述構文における数量詞の構文機能に関する研究
Project/Area Number |
21K12998
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加納 希美 金沢大学, 歴史言語文化学系, 講師 (00825094)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 現代中国語 / 程度 / 描写 / 数量詞 / 使役 / 打ち言葉 / 構文 / 変化叙述 / 誇張 / 臨時量詞 / 二重目的語構文 / 変化 / 描写性 |
Outline of Research at the Start |
現代中国語によって事物の何らかの変化に言及する際には、数量情報が不要の場面でも、文法構造全体が特定の意味の型に対応する「構文」において、数と単位の要素から成る数量詞が高頻度で現れる。本研究は、以下の課題1)-3)に取り組み、従来個別に論じられてきたこの種の数量詞の多様な副次的機能について、体系的整合性の提示を目指すものである。1)先行研究の検証および問題点の解明。2)数種の変化叙述構文の新規考察。3)各構文中の数量詞の機能比較、及び数量詞タイプと構文の特徴をパラメータとする数量詞機能の体系化。一連の成果は、特に変化叙述構文に関する日本語との対照的研究の発展に資するものであると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、言語表現における統語構造と意味の関連に着目しながら、現代中国語の多様な「変化叙述構文」を対象に、表現中に現れる数量詞の意味機能を解明し、最終的にその体系化を図るものである。令和4年度は、同一の統語構造が複数の事態表現(動作の遂行局面の様態叙述、事態の因果関係、事象の程度性表出)に対応する構文を中心的考察対象とし、先行研究や関連研究の議論を精読、検討すると共に「コーパス調査」や「インフォマント調査」を伴う研究を進めた。「コーパス調査」については、考察対象の表現の文体的特徴を鑑み、特にSNSの投稿記事から成るコーパスを用いた調査を行った。また、現実世界に対する認識とその言語化に関わる問題について造詣の深い研究者と方言研究の分野で顕著な実績を有する専門家に講演を依頼し(中国語の時空間――〈いま、ここ〉から見えるもの(金沢大学歴史言語文化学系言語研究グループ主催、演者:岩田礼氏・木村英樹氏)、本研究で扱う誇張表現や方言における関連現象について、これを分析するための有益な示唆を得た。
当該研究の成果については、研究会等で口頭発表を行うと共に、所属研究機関の発行する「紀要」において論文として発表した。具体的には下記のとおりである。1)オンラインで実施された「中国語文法研究会(第55回)」において口頭発表し、参加者との討論を通じて新たな知見を得た。2)前述1)による知見を踏まえて更に調査を進めると共に、議論を発展させた上でこれを論文にまとめ、「金沢大学歴史言語文化学系論集(言語・文学篇)(15号)」にて「「萌えキュンV得C」における数量詞の意味機能」として発表した。3)東京都立大学人文社会学部中国文化論教室主催の講演会「中国語のSNS発話を対象にした文法研究」にて口頭発表し、中国語方言や近世語における関連現象について、各分野を専門とする研究者から知見の提供を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である令和4年度は、「二重目的語構文」の形で「萌え」の上位を表す表現について、数量詞の意味機能転化に関する研究をすすめたが、口頭発表のみを行い、論文発表には至っていない。しかし、その過程で、同じく「萌え」の情意を表す別のタイプの構文について、類似の興現象が観察されたことから、両構文間の共通点と相違点を比較し、前年度の研究をより充実させるため、令和5年度には考察対象を広げて研究を進め、「二重目的語構文」による「萌え」の表現についても、当該の議論を発展させる上で極めて有益な知見を得ることができた。これにより、令和5年度のうちに、論文の形で新たな研究成果を発表できる見通しである。また、書き言葉によるコーパスの拡充も順調に進んでおり、日中対照の観点から研究を進める上での準備もおおむね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、5年間の研究期間のうち、初めの2年間で具体的な回数を表す数量表現を対象に研究を進める予定であったが、描写機能を持つ数量表現について、本研究の目的を達成する上でより優先的に研究を遂行すべき現象が観察されたため、当初の計画を変更して描写タイプの数量表現についての研究を進めた。これに伴い、3年目にあたる令和5年度においては、初年度に論文発表に至らなかった問題について更に議論を発展させ、論文の発表を目指す予定である。更に、計数タイプの数量表現に関わる研究についても着手し、同時に当該研究の遂行に必要となるデータベースの構築を継続する。また、関連する先行研究や関連文献の収集、精読を行い、研究に必要な専門知識の獲得に努める予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)