学習者の母語の事態把握が日本語のアスペクト習得に与える影響-多言語比較による検討
Project/Area Number |
21K13036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02090:Japanese language education-related
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
西坂 祥平 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (80870302)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 日本語教育 / 第二言語習得 / アスペクト / 事態の捉え方 / 発話のための思考 / 母語の影響 / テンス・アスペクト / 多言語比較 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、第二言語としての日本語のアスペクト習得において、学習者の母語による事態把握がどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とする。まず、日本語で「結果の状態」の「ている」を使用する場面、特に移動動詞と状態変化動詞が「ている」と共起する場面を対象とし、中国語母語話者、ウズベク語母語話者、ロシア語母語話者がそれぞれの母語でどのように事態を把握し、言語化するのかを明らかにする。さらに、その結果を母語の影響を検証するベースラインの資料としながら、中国語、ウズベク語、ロシア語を母語とする日本語学習者の「結果の状態」の「ている」の習得状況を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第二言語としての日本語のアスペクト習得、特に「結果の状態」を表す「ている」の習得に焦点を当て、学習者の母語による事態把握が与える影響の解明を目指している。先行研究においては、「結果の状態」を表す「ている」の習得難易度の高さを主張するものがあるが、同時に、学習者の母語との対応関係により、その難易度が変わるとされる。本研究は、この難易度差を事態把握の観点から考察し、どの部分が母語の影響によるもので、どの部分が普遍的な現象によるものかを明らかにしようとするものである。 2年目の実績として、条件採用であった投稿論文が無事に採択された。上級日本語学習者を対象とした論文で、母語との対応関係により「ている」の難易度が変わるとする先行研究の議論を一歩前進させるものである。同時に、上級になっても習得難易度が高い項目について、母語の影響とインプットの観点から説明を加えた点に研究上の意義が主張できる。 そのほか、2年目の成果としては、海外調査は実現できなかったものの、その分、関連領域の詳細なレビューに注力することができた。上記論文では、認知意味論や類型論の観点からの考察を行っているが、それらの分野に関する議論を再度整理した。今後の分析の基盤となる枠組みを、より精緻化することができた。 調査に用いるタスクについても、査読を経る中で、改善の余地があることがわかった。そのため、より信頼性の高いタスクをもって調査にかかれるよう、動詞の選定から課題文の状況設定、使用語彙に関して、再度アイテムごとに精査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
査読付き論文が一本採択されはしたが、2年間のプロジェクトの2年目にも関わらず本調査を実施することができなかった。理由の一つとしては、海外への渡航制限は大幅に緩和されたものの、中国国内への渡航に関しては非常にハードルが高かったことが挙げられる。また、年間を通じて十分にエフォートを確保することが難しく、結果として調査準備が思うように進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度こそは海外調査を実施し、母語が異なる日本語学習者のデータを収集する。年度内に成果を発表することを目指し、可能な限り早めの調査実施を目指したい。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)