Project/Area Number |
21K13046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02090:Japanese language education-related
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
福池 秋水 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (40791380)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 日本語教育 / 役割語 / キャラクタ / キャラ / 話しことば |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本語学習者が自分らしく話すための教材開発を視野に、話しことばの表現について分析を行うものである。日本語では、例えば一人称や終助詞など、話者の属性や性格、表現したい自分の像などによって使い分けられる表現がある。本研究ではこの使い分けについて学習者が漫画等のフィクション作品に触れながら自律的に学ぶことを支援していくため、そこでどのようなことば遣いが用いられているかを観察、分析する。そして、学習者にとって優先的に必要な表現や知識について考察し、よりわかりやすく提示する方法について、試用教材を作成する等して検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語の話し言葉の中で、話し手の「キャラクタ/キャラ」(人物像)と結びつくことば遣い(キャラことば)に着目し、主に日本語学習者の自己 表現の一環としての「キャラことば」表現について、教材開発を視野に分析を行うものである。前年度に引き続き、今年度は、当初の研究計画を一部修正し、昨年度に行ったタイでのアンケート調査(学習者の「キャラ」や「キャラことば」への意識を探るもの)の結果分析と、「キャラ」の概念について実際の授業に取り入れる実践の二点を柱に研究を進めることとした。具体的には、以下のような作業を主に行った。1)前年度に学習者に実施したアンケートの結果をまとめる 2)学内の中上級日本語クラスで「キャラ」の概念を取り上げるための教材を作成する 3)2)で作成した教材を実際の授業で使用してもらい、学習者と教員の双方からフィードバックを得る 1)について、自由記述欄の翻訳を依頼し、タイの学習者が「キャラ」をどう捉えているかを分析した。その結果、タイの学習者も先行研究で日本人が感じているとされているようなキャラの概念を持ち、自分のキャラが状況によって変化していることを実感しているケースが多いこと等がわかった。この内容については『タイ国日本語教育研究会第36回年次セミナー』で行った口頭発表で報告した。 2)については、関西外国語大学の秋学期の授業に向けて授業担当者と共同で教材を作成し、授業で使用してもらった後に、履修者にアンケート調査を実施した。アンケート調査の結果を中心に、授業担当者と協同で実践報告を執筆し、『関西外国語大学留学生別科日本語教育論集』に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、22年度に漫画資料の分析等を行い、それを基に23年度に学習者へのアンケート等を行う予定であった。しかし、初年度の文献整理の段階から、学習者や母語話者の意識に関して新たな疑問点が生まれ、研究の前提として日本語学習者を対象とした調査を早い段階で行う必要性を感じた。そこで、当初の研究計画を修正し、アンケートの準備を優先して進めることとした。22年度にはアンケートの準備と実施を行うことができたため、23年度はその結果を基にデータの収集や現場での活用の模索を進めることとしていた。しかし、22年度後半の対面授業再開以降、コロナ禍以前に比して留学生の人数が増え、クラスサイズが大きくなったことや、学内での異動に伴う新規担当科目や校務の増加など、研究計画の策定時には予想していなかった負担増があり、23年度は研究に割く時間を計画通りに取ることができず、アンケートの結果の分析と試作教材作成までは達成できたものの、新たなデータの収集まで至ることができなかった。以上のような理由で、当初の計画から見ると、やや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、漫画作品を資料としたキャラの描かれ方やことば遣いのあり方に関する観察を進めること、教材の試作と試用を行うこと、それらを掲載するウェブサイトを作成・公開することを計画していた。現在のところ、教材の試作と試用をごく限られた範囲でも行うことができているが、計画していた規模には及ばなかった。今後も学内での異動に伴い、新規担当科目等が多く、研究に割く時間が限られることが見込まれるため、限られた時間で有効な研究成果を挙げられるように研究の見直しをする必要がある。そこで、ウェブサイトの作成は取りやめ、試作教材開発の作成をまとめる方向で進めていくという計画を考えている。効率を上げる方策として、ことば遣いの研究は先行文献を積極的に参照、活用し、漫画作品におけるキャラの描かれ方と関連付けた研究に発展させることを検討している。 2024年度は当初の計画では最終年度となっているが、期間延長を申請し、できる限り研究を進めておきたいと考えている。
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