Project/Area Number |
21K13126
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
辻 高広 桃山学院大学, 国際教養学部, 准教授 (60637007)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 釐金 / 統捐 / 申報 / 官報 / 江西 / 釐ソウ |
Outline of Research at the Start |
本研究は流通税である釐金の徴収を題材とし、中国清朝末期における内陸地域と沿海地域との経済的関係について再検討することを目的とする。本研究の方法と到達目標は以下の通りである。 A.江西省および江南地域を中心とする沿海先進地域で発行された『官報』を中心とした史料の分析を通して、当該地域の釐金政策や徴収所の運営形態、具体的な徴収方法、当時の評価について検討する。 B.江西省および江南地域を中心とする沿海先進地域、中央政府のトウ案史料や当時発行された各種新聞史料の分析を通して、江西省の釐金政策と他地域、中央政府の対応について検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度となる2021年度は当初研究計画に基づき、釐金関係史料の収集および整理を中心に行なった。しかし、コロナ禍により中国での史料調査ができなかったため、日本国内でも閲覧が可能な『申報』を中心とした新聞史料とデジタルデータベースを用いた網羅的な史料収集を行い、その史料残存状況およびその種別を定量的に分析する方法を採った。その結果として300件弱の釐金関係史料を収集し、以下の知見を得た。 a.史料の残存時期について。①1873年以降継続的に釐金関係の記事は掲載されている(釐金徴収は1855年に開始)。②一方、1880-85、87-93の間は釐金に関する言及がみられない。この時期はイリ事件、日本による朝鮮出兵、清仏戦争など清朝と諸外国との軍事的緊張が特に強くなった時期にあたり、軍費捻出の手段である釐金徴収に批判的な記事が掲載されなかったものと想定される。③1900年前後を境に、統捐に関する記事が増加。特に1904-05年に集中。この時期は1902年のマッケイ条約に代表される国際的な釐金廃止圧力の増加、翌1903年の江西巡撫柯逢時による統捐実施を求める上奏を端緒として、全国的に統捐に関する関心が高まったことが背景にあることが読み取れる。 b.史料の性質について。①基本的には釐金の整頓、廃止を求める内容が多数を占める。ただし、批判の対象となるのは、釐金徴収における不正官員など、運用についての問題点に集中し、制度そのものについての批判は必ずしも多くはない。②言及される地域は発行地である上海、江蘇、浙江などが多いが、統捐実施期には各地域の実施状況を伝える記事も多くみられる。特に江西の統捐については詳細に伝えるものが多く、各省の官報でも江西省の統捐についての布告などを転載しており、江西統捐に対する全国的な注目が読み取れる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では2021年下半期から2022年上半期にかけて、中国での長期的な史料収集を予定していたが、コロナ禍により実施できなかった。また、国内の史料所蔵機関においても感染予防のため部外者の閲覧を制限しているところが多かったため、国内での所蔵調査もままならない状態であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は予定していた中国での史料調査を行なうことができなかったので、中国への渡航が可能になれば、調査を行ないたいと考えている。一方、現在の状況がさらに長期化することも想定し、収集済みの史料のさらなる分析も継続的に行なっていく。 本研究では江西省の釐金政策や運営形態に関する分析と、江南地域を中心とする沿海先進地域および中央政府の釐金政策に関する分析の二方面からのアプローチをめざしていた。しかし、各級研究機関、史料館が所蔵する公文書の閲覧がかなわない現状では、それらの検討は非常に難しい。一方、幸いにも初年度に行なった新聞記事を中心とした釐金関係史料の定量的分析から、当時の釐金制度に関する社会の関心のありようについて俯瞰的に確認することができた。そこで以降はこれらの史料の具体的な内容について個別に分析し、商品流通にたずさわる人々、釐金徴収をになう官員、商品を消費する都市民など、さまざまな属性の人々が、釐金制度といかなる形でかかわり、釐金制度をいかなるものとして受容しているのかを検討したい。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)