中国における蓮華文瓦当の系譜とその拡散-三次元計測による製作技術の解析を中心に-
Project/Area Number |
21K13134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Kinjo University (2023) Kanazawa University (2021-2022) |
Principal Investigator |
呂 梦 金城大学, 人間社会科学部, 講師 (90894288)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 蓮華文瓦当 / 製作技術 / 南北朝隋唐時代 / 東アジア文化交流 / 三次元計測 / 物質文化交流 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、南北朝~隋唐期に展開した蓮華文瓦当の様式・技術系譜の構築、および日本への波及過程の解明を目的とする。型式編年を作成して様式系譜を解明するとともに、三次元計測を用いた立体的な製作技法の解析を通じて、これまで看過されてきた瓦当の技術系譜を明らかにする。特に、中国における木製笵と陶製子母笵の使用状況を主軸とした南朝系と北朝系瓦当の分布とその変遷を歴史的背景とともに検討した後、日本出土の陶製笵の分析から、南朝系木製笵が主流の日本における北朝系要素の拡散とその要因に迫る。このような蓮華文瓦当に対する重層的な研究視角から、南北朝~隋唐社会の展開、さらに古代東アジア文化交流の実態解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に、中国南方の瓦当資料を中心に、調査を実施した。また、北方地区の蓮華文瓦当との比較研究を行ったうえで、地域間交流の実態を分析した。 2023年8月・9月には、南京大学賀雲ゴン先生に招かれて、南朝瓦の調査に参加した。南京をはじめとする南方都市へ赴き、上定林寺、西営村南朝仏寺、瓦官寺、当塗窯跡などの遺跡から出土した大量の蓮華文瓦当、人面文瓦当、丸瓦、平瓦を整理して、資料を収集した。これらの資料に基づき、南朝蓮華文瓦当の様式・技術系譜を構築した。まず、間弁の形を基準として、瓦当を分類し、製作年代を分析した。その珠点から、三叉型、さらにT字形への間弁の変化は、北方地区の蓮華文瓦当にもみられ、地域間比較研究の基準になれると考えている。また、南方地区の瓦当生産には、木范技術と陶范技術、両方が確認され、北方地区の状況と合わせてみれば、木笵と陶笵の違いは、地域差ではなく、時代差だろうと推測した。上述した中国南方出土蓮華文瓦当の分析成果は、2023年12月に九州大学で開催された日本中国考古学大会で発表された。そして、北方地区との比較分析の成果は、2024年3月に金城大学で開催された第1回中国古代瓦研究集会で報告された。 成果公表につきましては、論文「試論北朝制瓦手工業生産模式的発展」が、中国考古学のコアジャーナルである『考古与文物』に採択され、2024年5月に公表される予定である。また、ギョウ城出土瓦に関する二冊の論文、「ギョウ城遺跡核桃園5号建築基跡出土瓦製品的製作工芸与生産模式研究」と「文字瓦所見北朝隋唐製瓦手工業的工匠組織変遷――以ギョウ城出土戳印瓦為中心」は、『考古学集刊』と『ギョウ城考古発現与研究(2014-2023)』に採択され、2024年度に掲載する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度には、新型コロナウイルス感染症拡大にともない、中国各地における移動制限措置が実施されているため、中国南方地区の瓦に対する現地調査ができなかった。それが原因で、研究計画全体の進捗が遅れている。 2023年度には、新型コロナウイルス感染症がようやく収束し、中国南方地区の瓦に対する現地調査ができるようになった。この一年間は、中国南朝の蓮華文瓦当に対する資料収集と整理が完成したが、その分析と成果の公表にまだ時間がかかる。 2022年度には、平城宮第一次大極殿の瓦当、さらに、帝塚山大学付属博物館所蔵の高句麗瓦当に対する調査を実施したが、資料がまだ不十分である。古代東アジア諸国間の比較研究を行うために、日本及び朝鮮半島の瓦に対する体系的な調査が必要である。 全体的に見れば、本研究がやや遅れているため、補助事業期間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、日本及び朝鮮半島の瓦当に対する体系的な調査と、古代東アジア諸国出土瓦当の比較研究を行う予定である。 2024年3月には、韓国東国大学校の李炳鎬先生を通じて、韓国瓦に対する短期調査を実施した。ソウルの柳琴瓦当博物館をはじめとする研究機関に所蔵している瓦当の種類、数を確認し、現地研究者との協力関係を作った。2024年の夏には、もう一回韓国へ赴き、柳琴瓦当博物館所蔵の中国南朝瓦当、国立扶餘博物館所蔵の百済瓦当、国立慶州博物館所蔵の新羅瓦当を整理する予定がある。その後、2022年度に整理した、帝塚山大学附属博物館所蔵の高句麗瓦当と合わせて、朝鮮三国時代の瓦当の系譜を検討したい。 また、2022年8月には、平城宮第一次大極殿の瓦当を観察したが、資料がまだ足りない。今年度には、平城宮跡の他の遺構、さらに藤原宮跡の遺構から出土した瓦当を整理して、日本古代瓦当の資料を補充する予定もある。 最後、朝鮮半島・日本の古代瓦当と中国南北朝隋唐時代の瓦当との比較分析を行い、古代東アジアにおける、蓮華文瓦当の様式と技術の伝播の状況を検討する。
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Report
(3 results)
Research Products
(19 results)