Project/Area Number |
21K13175
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
青木 敬 関西大学, 文学部, 准教授 (60791217)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 民族誌映画 / 故郷 / カーボヴェルデ / ソダーデ/サウダーデ / クレオール性 / 移民 / 音楽継承と実践 / 相反する社会的立場 / 故郷の探求 / 大分の歴史文化 / ペトロ岐部カスイ / 共生と文化接触 / カーボヴェルデ音楽 / 共同制作 / 故郷イメージの構築、創造、再編 / 環大西洋世界の文化 / カーボヴェルデ人移民 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、カーボヴェルデの島民・移民によって歌われる歌謡モルナに現れる「故郷」のイメージに注目し、その再編を通じて新たなモルナの価値を掘り起こす。 そのためにモルナの重要な特徴のひとつに「故郷」(home)という概念があることを明確にし、リスボンのCV人移民とCV国内のモルナ奏者が担うモルナの様式を比較分析する。そこから浮かび上がる彼らの「故郷」のイメージを再編し、即興で絶え間なくモルナをつくり続けるCV人の「クレオール性」と「故郷」の関係を浮き彫りにする。 さらに、私が、インタビュー対象者の追憶を撮影するために現場へ行き、断片化された「故郷」イメージのモンタージュ編集を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、8月から9月にかけて民族誌映画制作のために西アフリカ島嶼国カーボヴェルデで調査を実施した。とりわけ強調すべき点は、映画制作のために研究協力者として映像作家と同行したことである。というのも、従来の民族誌映画では、調査者が参与してこなかった点を反省的にとらえていることが指摘されている。そこで調査者が被写体とともに映画制作をおこなうことで、相互行為をとおして新たな生活実践を営むことを試みた。 具体的な内容としては、カーボヴェルデ語に固有である故郷にたいして感じる郷愁、すなわちソダーデの概念についての断片的なイメージを収集した。それは、調査者と映像作家によるソダーデのイメージである。これを組み合わせることによって、理路整然とした映像データではなく、抽象的な表現としての映像データを得ることができた。 もうひとつの調査内容は、被写体(映画の主人公)と彼を取り巻く人びとの関係性、被写体の日々の生活と考え方(ライフスタイル)、さらには被写体が抱える個人的問題(ドラッグ中毒、アルコール中毒)との向き合い方などといった、極めてパーソナルな問題にも直接かかわることができた。むろん、これらに関する映像データも入手できている。 これらのことから、結果的に質の高い多くの映像データを得ることができ、被写体との新たな関係性を構築することに結びついた。これで必要な映像データが揃い、編集作業に取り組む準備が整ったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに収集してきた映像データの質と量を鑑みて、民族誌映画を制作(編集)するための十分なデータがある。また、これまでの研究で実践しきれなかった、調査者による映画への参与的側面が、今回のフィールドワークで成功していることから、現時点での研究の進捗状況はおおむね進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針は、フィールドワークは実施せず、これまでに収集したすべての映像データを吟味・取捨選択し、編集作業に専念する。とりわけ、センシティブかつ難しい問題として考えられるのは、編集作業をおこなううえで、どのように被写体が抱える個人的問題を表現・描写するかである。なぜならば、被写体の許可を得ていたとしても、内容自体に政治・経済的問題を孕んでいるからである。 これらの点に関して、編集作業を進めながら研究協力者と議論・確認作業をおこなう。また、字幕翻訳の問題も重要であるため、これらの編集作業にかんしては2025年度に現地カーボヴェルデで被写体とともに制作する予定である。
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