Project/Area Number |
21K13176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2023) Osaka University of Tourism (2021-2022) |
Principal Investigator |
王 静 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (30758529)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 雅安藏茶 / 辺銷茶 / 蔵茶漢飲 / 蔵茶文化 / 茶馬古道 / 歴史遺産資源 / 蔵茶 / チベット / 民族政策 / 四川省雅安 / 民族文化回廊 / 藏茶 / 少数民族 / 中国 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、中国政府がチベット族に対して行なっている藏茶を介した民族政策を対象とし、1)チベット族と藏茶の事例をもとに中国の少数民族政策の実態を明らかにした上で、2)政治利用された藏茶が中華民族の茶文化として創造されていくという文化の再帰的変容を跡付けるとともに、3)新たに創造された中華民族文化としての茶文化を通してチベット族が中国国家へと組み込まれていく過程について検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度には9月及び3月に中国四川省における蔵茶についての実地調査を2回実施した。本研究は蔵茶が政治利用されることで生じる変容、またそれが政治や社会、経済に対してどのように作用しているのかを捉えることを目的にしている。 実地調査は主に以下の四つの点を中心に行った。1)雅安市と周辺地域にある蔵茶の生産企業を訪問し、それらの企業に併設する博物館や展示館の史資料を集めるとともに、経営者らから蔵茶の生産状況、特にチベット族向けに生産する従来の「辺銷茶」や、新商品づくりなど新たな市場開発に乗り出した経緯や戦略についての情報を収集した。2)雅安市の地方政府、茶業界組織の関係者に聞き取りを行い、「雅安蔵茶」というブランド構築の現状や、「蔵茶」を地域文化化すると同時に中華茶文化に一体化させる取り組みについて把握した。3)蔵茶を対象とする学術研究活動に参加し、研究者との交流を通して、茶馬古道を歴史遺産資源として開発する観光学的観点、「蔵茶文化」に対する歴史学・地理学的な観点からの最新の研究成果を入手できた。4)市民(漢民族側)の蔵茶消費活動の観察調査によって、蔵茶を飲料として利用している場合は、チベット式の入れ方・飲み方がほとんど見られず、新しいスタイルのティ-ドリンクや、飲料以外の場合は健康商品的に利用されていることがあきらかになった。 これら実地調査で得られた資料や情報は、蔵茶に対する従来の捉え方、すなわち蔵茶を国家の直接管理下に置き、それを通して少数民族を管理・統治するという理解の再検討へとつながるものである。また蔵茶が中華茶文化全体に影響を与えていることを検証していく材料にもなるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は当初の計画通り中国での資料収集を実施することができた。ただし、当初予定していた本研究の3年の計画からみたとき、進捗がやや遅れた状態にあると考える。これは2021年度、2022年度がコロナ禍の影響で現地での調査ができなかったためである。今年度の調査を通して遅れをある程度取り戻すことができた。研究期間の延長が認められているので、2024年度の調査によって当初計画通りに研究の遂行が可能になると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も引き続き中国での現地調査と資料収集を2回程度実施する予定である。また、そこで得られた資料をもとに、2024年度後半には、本研究を研究論文として取りまとめる予定である。
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