Project/Area Number |
21K13184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
本庄 未佳 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (60868743)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 日本国憲法 / 平和主義 / 平和的生存権 / 自衛権 / 憲法前文 / 自衛戦争 / 憲政史 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、憲法前文、特に、平和的生存権の思想の淵源を検討することで、憲法が追求する平和主義を再検討することを目的とするものである。本研究から、憲法前文には、平和を人権として捉える平和主義が規定されているため、戦争を放棄しただけでは確保することができなかった平和問題を、安全と生存という観点から平和概念を捉え直すことで、このような平和概念を侵害するような安全保障政策に対して人権侵害の観点から人権救済をして、平和を確立することを期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、人権理事会附属図書館において「平和」の実現を人権保障の側面から達成しようと試みた様々な国際条約の議事録を収集し、分析した。 1978年「平和的生存への社会的準備に関する宣言」では、国連で初めて「平和的生存」という文言が使われた宣言であることが明らかとなった。また、同宣言のなかでは、「生存権」と「平和権」の相互依存の関係から、両者を統合する概念として提唱されたことが明らかとなった。この発見の意義は、軍事力による安全保障によってのみ「平和」が実現されることが前提となっていた国連において、「平和的に生存する」という概念が普遍的権利の基礎となる一般的な利益の実現として、その固有の権利性が国際法として確立されたことである。次に「人民の平和への権利に関する宣言」では、より日本国憲法9条の希求する平和主義と類似する性質を見出すことができた。「人民の平和への権利」には、戦争の廃絶を希求し、各国に武力行使の放棄を求める権利として提唱されている。この分析の意義は、安全保障理事会が軍備を拡大し、核による安全保障政策を展開してきていることに対して歯止めをかけるために「平和」が人権によって実現される概念であることを再定義していることである。 さらに9条の淵源といわれている国際条約(戦争放棄条約)締結のための議事録及び各国書簡をフランス外交史料館にて収集し、分析をした。これらの書簡には同条約に対する各国の姿勢が表れていることから、「戦争放棄」に対する姿勢や積極性等を解するための重要性を見出すことができる。 そして、大西洋憲章におけるルーズベルトとチャーチルの書簡等を収集、分析した。同資料からは、恐怖及び欠乏からの自由という文言はチャーチルではなく、ルーズベルトによる積極的姿勢から憲章への規定にいたった経緯が記されており極めて重要な資料といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大の影響の残余により、研究の中心とも言える米国での資料収集・資料精読が困難な状況にあった。特に、ハッシー自身が寄贈を行ったメリーランド大学図書館での資料収集、スタンフォード大学フーバー研究所での資料収集が未完了である。また、デール・へレガースの米軍占領及び日本国憲法制定に関する関係者へのインタビューや通信文、手書きのメモ等の一次資料も入手することができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染拡大が収束しなかったこともあり、初年度の資料収集の遅れが影響を及ぼしていると考えられる。最終年度は、米国での資料収集、資料の精読が中心となる。特に、ハッシー自身が寄贈を行ったメリーランド大学図書館での資料収集、スタンフォード大学フーバー研究所での資料収集、デール・へレガースの米軍占領及び日本国憲法制定に関する関係者へのインタビューや通信文、手書きのメモ等の一次資料の収集、分析を実施する。
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