Project/Area Number |
21K13204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law (2023) Kyoto University (2021-2022) |
Principal Investigator |
杉本 拓海 大阪経済法科大学, 法学部, 助教 (90883827)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 正当行為 / 懲戒権 / 親権 / 刑罰論 / 刑法 / 違法性 / 体罰 |
Outline of Research at the Start |
近年、子に対するしつけを名目とした体罰・虐待が社会問題化し、児童虐待防止法等の法改正がなされ、体罰が禁止されるに至った。しかし、刑法分野では子に対する措置の正当化の範囲・理由について、現在の社会情勢に適した議論がほとんどなされていない。本研究は、教育学等の関連する諸領域を参照にしつつ、子に対する措置を許容する法令の趣旨、実際に子に対する措置によって保護される利益及び害される利益等を分野横断的に分析・検討することにより、子に対する暴行罪・傷害罪等の構成要件該当行為の違法阻却の判断における考慮要素の指針を提案し、児童の権利を侵害しうる大人の措置の違法性に関する理論の基礎を築くことを図るものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
第一に、教師の懲戒権について、正当化判断に対する裁判所の態度が平成24年桜宮高校体罰死事件以前とそれ以降で異なること及び、平成24年以降の教師の懲戒権に関する裁判所の態度と令和の民法改正(親子法制)における考え方との異同について調査・分析を進めた。また、昨年度に引き続き教師の懲戒権がどのように基礎づけられるのかについて調査・分析を進めた。具体的には、従来、教師の懲戒権は究極的には親の懲戒権に由来すると考えられたところ、民法改正によって親の懲戒権規定の削除されたことが教師の懲戒権行使が可能となる範囲にどのように影響するのかという点に留意して考察した。これらによって、親の子に対する有形力行使について検討する下地を得た。 第二に、親の子に対する有形力の行使について、違法阻却の判断に際して影響を与える事項について検討を行った。例えば、暴行等が繰り返し行われているという事実が、特定の1回の暴行における違法性評価を高めるのかについて、常習窃盗や常習暴行罪についての議論等を参考にしながら考察を行った。 第三に、昨年度までの研究を進める幼児に対する有形力行使について、親が行為者であるものの他、保育士が行為者である直近の裁判例に対象を広げて調査を行った。これによって、被害者が幼児である場合について、下級審がごく軽微な有形力の行使についても構成要件該当性を認めており、軽微な有形力行使については可罰的違法性の理論により構成要件該当性を否定すべきだという従来の私見が実務と乖離するものであることが改めて確認でき、この点に関する課題が一層明らかになった。このうち、行為者が親の場合における近時の裁判例の分析についての成果は、論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
第一に、関連する周辺領域についての知識が不足していたため、その学習に当初の想定を上回る時間がかかった上に、結果として依拠しづらい点があることも発覚したため、全体の進行度としては遅れていると評価せざるを得ないものとなった。 第二に、事情の変化により国外での研究を実施しないことを前提とした計画に変更したため、当初の予定とは異なるものとなった。 第三に、令和5年度から所属研究期間を変更したため、初年度の準備等のために、研究課題にかける時間が減ってしまった
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Strategy for Future Research Activity |
まず、検討している課題に深く関連する法改正が近年行われているため、一度、民法(親子法制)の改正以降の議論・裁判例を踏まえてこれまでの研究成果について整理・再検討を行う。 その上で、子に対する措置が子にどのような影響を及ぼすのか、また、それは刑法学上どのように評価されるのかについては、引き続き検討・分析する。 これらの成果については、論文にまとめて来年度中に公表することを目指している。
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