Project/Area Number |
21K13213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
嶋津 元 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (70823392)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | ayant cause / 承継人 / opposabilite / 対抗 / 所有権 / 帰属 / 時効 / representation / 詐害行為取消権 / 時効援用権 / 代理 |
Outline of Research at the Start |
時効援用権者の範囲の問題については、現在の民法(明治民法)の前身である旧民法において、特に旧民法証拠編97条が、時効が完成した権利義務の当事者の「承継人」に対して時効援用権を認めていた。そこで用いられていた「承継人」という語はayant cause概念の訳語として用意されたものであるが、ayant cause概念と承継人概念とは異なる概念である。このayant cause概念の意義を明らかにすることができれば、現在の民法における時効援用権者の範囲画定基準の問題を考えるに際して、重要な手がかりが得られよう。本研究は、このayant cause概念の具体的意義を明らかにしようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度においては、①博士論文及びその後の研究成果を書籍として出版する目処が立った。つまり、完成原稿を作成して、その出版について、公益財団法人全国銀行学術研究振興財団からの助成を受けることができた。これに加え、②今後の研究の展開の一つとして、所有権の帰属概念に関する論文(「所有権の帰属概念に関する序論的考察ー所有権の絶対性はいかにして現実のものとなるか?」岡山大学法學会雑誌73巻4号295-339頁)を執筆・公表することができた。 上記の①の研究成果は、時効が完成した権利義務が、その当事者以外の第三者にとってどのように認識されるのかという権利義務の存在論の問題について、時効援用権者の範囲画定基準という具体的問題に即しつつも、方法論も含めて総合的に検討したものであり、令和6年7月ごろの出版を予定している。そして、①の検討において残されていた具体的問題の一つを取り上げ、所有権という権利の存在概念という問題に即して更なる検討を進めたのが、上記②の研究成果である。 これらの研究を遂行することを通して、権利義務の存在概念を支える根本的な発想を探究することの重要性を明らかにすることができたと思われる。また、その研究の方向性の一つとして、近代所有権論の議論、特にカントにおける所有論ないし権利論(特に、『人倫の形而上学』の法論における議論)を民法学において参照することの学説史的・理論的意義についても、ある程度明確にすることができたと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目論見としては、博士論文を補充・展開させることによって、その研究成果を書籍として公表することが出来れば、それなりの成果となりうるのではないかと考えていた。しかし、その作業を行う中で、今後の研究、特に、博士論文に続く大きなテーマにつながりうる論文執筆に取り組むことができたのは、当初の計画以上の成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の紀要にて公表した論文において、所有権の帰属概念について、その絶対性を所与の前提とせず、根本的に発想を転換することの必要性をある程度明らかにした。今後は、当該問題が具体的問題として立ち現れてくると思われるところの、取得時効の構造論や、占有と所有との関係について検討を進めていく予定である。
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