Neoliberal reforms of social security system and the historical heritages of Developmentalism in Republic of Korea
Project/Area Number |
21K13232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
井上 睦 北海学園大学, 法学部, 准教授 (00732455)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | ケアの社会化 / 脱家族化 / 家族化 / 市場化 / 開発主義 / 新自由主義 / 日韓比較 / 家族主義 / 経済政策と社会政策のリフレーミング / ケアの市場化 / 社会的投資 / 韓国 / 社会保障 / 福祉政治 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、韓国における1990年代末以降の社会保障改革が、新自由主義改革と連動し、さらには左派政権によって推進されたメカニズムを解明することにある。とくに開発主義体制期の制度の経路依存性に着目することで、民主化後も持続した民主化以前の制度的遺制が、この時期の政治や政策展開を規定したことを明らかにする。 本研究は、韓国の経験を歴史的に跡づけることで、先進国の福祉国家とは異なる経路を辿った要因を明らかにすると同時に、共通条件を持つ新興国の福祉国家研究に理論的示唆を提供する。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、本研究課題の目的である、開発主義の制度的遺制に着目した理論研究をより精緻に進めるために、(1)日韓比較を通じた実証研究および(2)それを踏まえた理論研究を行った。 まず、(1)韓国と共通の制度的遺制をもつ国として日本との比較分析を行い、日韓両国における1990年代以降の新しい社会政策群を「ケアの社会化」として位置づけるとともに、それらがなぜ、どのように展開してきたのか、またいかなる特徴をもつのかを分析した。分析を通じ、日韓においては、「ケアの社会化」=市場化と脱家族化の過程として現れた欧米福祉国家とは異なり、「ケアの社会化」=市場化と再家族化として現れたという共通の特徴が見られたことが明らかになった。さらにこうした共通性は、単に政策的な共通性として、あるいは開発主義的な制度の遺制として現れたわけではなく、日韓両国における1990年代以降の政党政治および福祉政治から影響を受けていた可能性も示唆された。 (1)を踏まえ、(2)新自由主義と開発主義体制の制度的遺制との連関を分析するための試論として、欧米福祉国家の経験から導出された「ケアの社会化」をめぐる研究蓄積に依拠しつつ、日韓の政治的・政策的共通性を分析するための方法論的検討を行った。 ここでは、日韓の家族主義を可能とした制度として、性別役割分業に基づく開発主義的な経済成長モデルに着目し、この変化/持続を分析する視点が必要であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の研究は、開発主義国家間の比較(日韓)、欧米福祉国家との比較といった二段階の分析によって、本研究課題の目的、とりわけ理論の精緻化に寄与するものであった。しかし同時に、こうした研究対象の拡大によって、韓国のみの分析を通じた理論化を予定していた当初の研究計画には遅れが生じた。とりわけ「研究実施計画」における①社会統合との関係には着手できたものの、②政治代表のあり方については、日韓に共通して、左派政党による政策転換後に、党派性の異なる右派政党になぜ、いかにして政策が引き継がれ、あるいは変更されたのかを実証的に明らかにするまでにはいたらなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本研究課題の目的を遂行するためには、当初の予定通り韓国を中心としながら、継続して日本を比較検討の対象として位置づけることで、より精緻な理論化が可能となると考えられる。日本も含め、実証分析を通じた理論化を検討するうえでは、(1)当初予定していた韓国行政部・統計庁発行の各年版データおよび国会議事録、各種委員会議事録・市民団体や民間研究所報告書等からの分析のみならず、日本の行政部、国会・委員会議事録のほか、OECDおよびILO等国際機関の各種統計を用いた詳細な分析を行う必要がある。さらに、日韓については、新しい社会政策だけでなく政党政治/福祉政治にも共通性がある可能性が示唆されたことから、当初予定していた制度の経路依存性だけでなく、制度と政党政治/福祉政治がいかに絡みあい、影響したのかを明らかにする必要がある。 なお、今年度取り入れた「ケアの社会化」という枠組みについては、家族政策や少子高齢化対策、社会的投資戦略、労働力不足対策など、国や政権によって名称が異なりながらも重なり合う様々な政策の包括的な分析が可能な一方で、政策目標や政策的帰結の統一的な把握・分析が困難であるという事実も明らかになった。新しい社会政策を捉える分析概念について、より詳細な検討が課題である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)