ESDの推進における初等教育の教師の専門性に関する実証的研究
Project/Area Number |
21K13511
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Kaichi International University |
Principal Investigator |
佐々木 織恵 開智国際大学, 教育学部, 准教授 (70825075)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 持続可能な開発のための教育(ESD) / 教師の専門性 / アクションコンピテンシー / 変容的学習 / ESD / 教師教育 / 比較研究 / 小学校教育 / 実証的研究 |
Outline of Research at the Start |
ESDの実践を定着させるためには、ESDの実践において教師に求められる資質・能力や学校経営の在り方について議論を深め、そうした研究の知見を活かして教員養成や教員研修で教師の能力構築に取り組む必要がある。本研究ではESDの推進において日本の小学校教師に求められる専門性と学校経営の在り方について実証的に明らかにし、専門性の育成や向上に必要な教師教育の在り方を検討する。このような検討を通して、日本の教師教育の課題をESDの事例から析出するとともに、ESDの推進のために教師に求められる専門性について、日本の文脈から国際的な議論に貢献していくことが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
ESDの実践を定着化させるためには、ESDの実践において教師に求められる資質・能力や、学校経営の在り方についての議論を深めるとともに、教員養成や教員研修で能力構築に取り組む必要がある。しかしながら、これまでESD研究においては教師と学校の専門性をどのように高めていくかという課題は十分に扱われてこなかった。本研究はESDの推進において日本の小学校教師に求められる専門性と学校経営の在り方について実証的に明らかにし、専門性の育成や向上に必要な教師教育の在り方を検討する。このような検討を通して、ESDを事例として日本の教師教育の課題を析出すること、また日本の文脈から発信することにより、ESDに関する国際的な議論への貢献が期待される。 本研究は以下の3つの研究から成り立つ。 ①教員養成や教員研修については、日本の初中等教育の教員養成大学や教職大学院の策定する、教員養成スタンダード、シラバス、免許更新研修のプログラム等におけるESDの位置づけについて、各大学のHPや公開資料の情報収集や分析を通して明らかにする。 ②諸外国や国際機関によって作成されているESDの実践に関する指標を参考とし、横浜市の小学校(ESD推進校と非推進校)で校長や教師を対象に、ESDに関する知識や教授実践の内容、学校経営における位置づけ等について、質問紙調査を実施する。 ③ユネスコスクールやESD推進校となっている小学校数校を対象に、学校評価や校内研修での教師間の協議の様子を観察し、教師による「批判的思考」や、「自分自身と社会を変容させる学び」が行われているか、行われているとすれば誰がどのような働きかけを行う中で行われているのか、学校間で差があるとすればその影響要因は何かについて分析を行う。 本年度は②の結果分析と③のプレ調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、②で行った質問紙調査を元に、学校としてのESDの取り組み(機関包括型アプローチ)と教師のESD実践にどのような関係があるのか分析を行い、以下の国内の学会で発表した。 佐々木織恵・米原あき・北村友人「日本のESD実践における機関包括型アプローチの効果:教師による全体論的、多元論的、行動志向的なESD実践との関連に着目して」『日本ESD学会第5回大会』(2022年11月12日) また、分析結果は英文誌及び和雑誌にそれぞれ1本ずつ投稿した。現在査読中であり、年度内に掲載決定は得られておらず、業績化は令和5年度に持ち越しとなった。 さらに、②のフォローアップと③の準備調査として、横浜市ESD推進校6校の教師10名を対象にインタビュー調査を実施した。本研究はインタビュー調査を中心とした質的研究である。本調査には横浜市内ESD推進校に指定されている小学校3校、中学校3校、計6校の先生方、計10名にご協力いただいた。横浜市では28校の小、中、高等学校がESD推進校に指定されており、ESDのモデル校として実践を行っている。筆者らは教育委員会の担当部署と相談の上、これら推進校の中でも最も先進的な取り組みを行っている教員を学校長から推薦していただき、学校ごとに日程調整を行い、半構造化インタビューを実施した。 一般的な教育現場では教職員のESDに関する理解が不十分である現状が指摘されているが、どのような支援を教師は求めているのか、またそれらがESD実践においてなぜ必要なのか、その具体はこれまで明らかではない。先行研究が示唆するのは、学校レベル、行政レベルでの支援の必要性である。本研究では先進事例を取り上げるが、ESDに先進的に取り組む教師の意見としても示された結果であるという点において、他の自治体や学校でも教師のESD実践を支える方策についての示唆を得られるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は以下の研究を進めていく。 1)ESDの成果としての、児童生徒のアクションコンピテンシーに着目したレビュー論文の作成(令和5年度中盤)、2)上記で行った教師へのインタビュー調査及び教師のESD実践をまとめた論文の作成(令和5年度前半)、3)教師のESD実践の観察(令和5年度中盤後半)、4)教師のESD実践と上記1)でまとめた児童生徒のアクションコンピテンシーの関係に関する定量的分析の実施(令和5年度後半) ESDを通して児童生徒に身につけさせたい能力については、知識・情動・行動の3領域で捉えられることが多いが、本研究では特に「行動」に着目する。行動力については「アクションコンピテンシー」と呼ばれることが多く、ニュージーランドやベルギー等でESD実践がアクションコンピテンシーに与える影響についての実証的研究が行われてきている。1)ではこうした諸外国の事例をレビューし、研究手法や、取り扱う変数について示唆を得る。2)では、令和4年度に行ったインタビュー調査をまとめ、質問紙調査の結果を合わせて分析し、日本国際理解教育学会(7月)での学会発表および論文化を行う。3)では2)でインタビューを行った小中学校のうち数校を訪問し、事例研究を行う。4)では3)の事例研究の結果及び1)のレビューを元に、教師の実践と子どものアクションコンピテンシーの間の関係を定量的に検証する。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)