Project/Area Number |
21K13657
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09080:Science education-related
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
原田 勇希 秋田大学, 教育文化学部, 講師 (40883426)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 科学概念 / 素朴概念 / 実行機能 / Stroop課題 / 個人差 / 事象関連電位 / 抑制 / 活性化 |
Outline of Research at the Start |
近年,科学概念の獲得後であっても,素朴概念は自動的に活性化しやすい表象として残り続け,素朴概念の円滑な抑制過程が科学概念の表出に関与することを想定した認知モデル(抑制モデル)が提出されている。 しかし現状では,多くの科学的文脈の素朴概念において一貫して素朴概念の抑制過程を要するのか十分に検討されていない。また科学概念表象の活性化を促進する要因の検討や,概念変容に寄与する個人差変数などの検討も不十分である。そのため,抑制モデルに基づいた科学教育実践を考案するために必要な基礎的知見が不足している。 本研究は,前述した抑制モデルの基礎的知見の導出と,科学教育実践への応用の糸口を見出そうとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,生物学における素朴概念と科学概念の心的表象の検討と,実行機能(excutive function)の下位要素である抑制能力の個人差との関わりについて調べた。具体的には,多くの人が幼少期に獲得したとされる「動くものが生物である」,「動かないものは生物でない」という素朴概念が,成人(大学生)においても潜在的に残存しており,また自動的に活性化されやすい記憶表象であることが生物・非生物判断課題における反応時間を指標とした実験的研究により示された。本研究では先行研究と異なり,生物・非生物次元と動・不動次元を直交させた要因計画を用いたため,すでに明らかになっていた知見を更新する研究成果が見いだされた。 また,素朴概念に反する評価を下さなければならない条件(生物かつ動かない条件:植物に対して,生物であると反応する条件,非生物かつ動く条件:動力を持つ物体に対して,非生物であると反応する条件)にかかる反応時間と,素朴概念に合致する評価を下す条件の反応時間の差分(干渉量)の個人差が,Stroop課題で測定された抑制機能の個人差と有意に相関することが見出された。この結果は,反応時間の差分をもとに成人期における素朴概念の自動的活性化と抑制による認知的制御の必要性を主張してきた先行研究の知見を補強するものであり,素朴概念の抑制と科学概念の流暢な表出に困難を示す学習者像を明確にした基礎的研究と位置付けられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究で提案された素朴概念の抑制モデルの概念的妥当性が示された点で,進展があったものと評価できる。また,実行機能(Stroop課題)の個人差が成人期における素朴概念の抑制と流暢な科学概念の表出に関与していることが明らかになったことから,科学教育の文脈で科学概念への変容が困難な学習者像が明確になった。すなわち,今後の教育現場での実態調査や介入研究を行う際の視点が提供されたため,後続研究を実行するための基礎がためができたものと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,事象関連電位(event-related Potentials; ERP)の技法を用いて,素朴概念の潜在的抑制に関する脳内処理過程を明確化することを目標とする。具体的には,素朴概念の抑制モデルを提案する先行研究では,フランカー課題やGo-NoGo課題で刺激提示後約200ms後に前頭-中心部で惹起されるN200(N2)と類似するERP成分を,概念課題においても観測している。しかし,概念課題で観測されるN200の頭皮上分布は頭頂で顕著に観測されていることから(例えば,Pz),このN200成分を競合モニタリング理論(conflict monitoring theory)で説明される複数表象の競合を反映する従来のN200と解釈することは時期尚早である可能性がある。これを解決するためには,Go-NoGo課題等で惹起されるN200成分と直接的に比較できる参加者内要因計画によって実験を遂行する必要がある。 また,素朴概念と科学概念の競合は主として意味処理レベルでの競合であると考えられるが,フランカー課題のような知覚的競合で惹起されるN200成分が素朴概念と科学概念の競合を反映しているという主張に対しては,潜時が早すぎるという懸念がある。同じような意味処理レベルでの競合を反映するERP成分にはStroop N450がある。来年度はこれらの競合課題で惹起されるERPと,概念課題で惹起されるERPを比較したり,課題の提示モダリティを操作したりする方法を用いて,素朴概念と科学概念の競合と素朴概念の抑制に関する時間的ダイナミクスを明らかにする研究を実行する。
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