自然環境に対する擬人化認知と自己超越的感情反応の社会生態学的検討
Project/Area Number |
21K13677
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 10010:Social psychology-related
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
坂本 剛 中部大学, 人文学部, 教授 (30387906)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 擬人化認知 / 自然環境に対する感情反応 / 奄美群島 / 文化的産物 / 文化規範のタイトさ / 社会生態学 / 民話 / 潜在連合テスト(IAT) / 潜在連合テスト(IAT) / 奄美大島 |
Outline of Research at the Start |
これまで自然と人間との心理的なつながりの強さが環境配慮行動を導く効果には高い関心が寄せられてきたが、自然への心理的な反応特性を醸成する環境要因を特定した人間―環境システム全体を包括する具体的な過程は未だ検証されていない。 本申請は奄美大島の各集落に注目し、集落と住民という階層性を伴う対象に対し、心理的特性を地域の自然・社会環境要因の相互作用から説明する社会生態学モデルに基づいた調査を行う。擬人化認知から自己超越的な感情反応が促進され行動に至る一連の過程を検討する。 さらに擬人化認知が行動に至る無意識の心理過程について実験を用いて精緻化する。環境PRなどにおける擬人化利用の可能性と限界を理論化する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は自然への心理的な反応特性を醸成する環境要因の特定,及びその心理的反応による環境配慮行動促進の効果の検討を含む,人間―環境システム全体を包括する具体的メカニズムを検証する。そのために,(1)心理的反応特性を地域の自然・社会環境要因の相互作用から説明する社会生態学モデルに基づいた調査を行い,一連の過程メカニズムを明らかにし,(2)自然環境の擬人化認知が環境配慮行動に至る無意識の因果過程について,心理学実験を用いて精緻化したうえで,環境PRなどにおける擬人化の利用可能性と理論的基盤を提案することを目的としている。 過程メカニズムに関する研究では,2021年度に新型コロナウイルスの蔓延状況を考慮して,(A)文化的産物の分析と郵送調査を組み合わせるアプローチと,(B)対象集落を限定した小規模な聞き取りアプローチの2系統を順応的に管理する方法へと計画を見直した。2022年度は,(A)について,対象地域を群島エリアから大島エリアに限定した文化的産物(民話)資料と郷土資料の収集をひととおり終え,基礎的な分析を終了した。成果は2023年度の日本グループ・ダイナミックス学会と東海心理学会で発表する。集落調査(B)は瀬戸内町の一集落を前年度から継続して訪問,調査を進めている。2022年度は聞き取り面接対象の集落を拡張することは避けた。また地域自治体の学芸員各位と研究協力のネットワークを構築した。 実験研究は2021年度に続いて2022年度も自然観察会を開催し事前事後デザインによる感情反応の変化の検討を行った。2022年度より,「ネイチャー・フィーリング(日本自然保護協会)」や「畏敬を導くアウトドアガイド」プログラムを参考に,感情反応に注目をした自然観察プログラムを導入している。2021年度までの成果は2022年度の日本コミュニティ心理学会で発表した。また擬人化認知を導くプライミング課題の開発を行い,開発課題が擬人化認知を発生させることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過程メカニズムに関する研究のうち(A)で,文化的産物(民話)と郷土資料の収集を一通り行い,大まかな内容分析を終えることができた。分析の方向性等について,地域の歴史・民俗を専門とする学芸員各位から専門的知識に基づく助言を得る研究協力ネットワークを構築することができた。これらの成果は2023年度の日本グループ・ダイナミックス学会と東海心理学会で発表する。自然観及び文化規範に関する質問紙の郵送調査の実施に向け,地域の選定に着手することができた。集落調査(B)では順調に面接調査を進行させることができている。 実験研究は,日本自然保護協会等複数の団体が開発を検討している感情反応に注目した観察会プログラムに関する資料を収集し,協力体制にある自然観察指導員及び生態学を専門とする研究協力者たちと,新たな自然観察体験プログラムを作成し,実際に開催した観察会で実践的検討を行うことができた。これらの成果は2022年度に日本コミュニティ心理学会で発表した。擬人化プライミングの開発は当初の計画通り2022年度に着手することができた。IATを用いた調査データの分析結果について,2022年度中の論文化に間に合わなかったため,2023年度中の論文化を目標にする。
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Strategy for Future Research Activity |
過程メカニズム(A)では,奄美大島エリア内の文化的産物に関する基礎分析の結果を地理的情報及び社会生態学的情報と重ね合わせたデータに,質問紙調査によって収集された自然観及び文化規範に関する個人回答を統合することによって,個人―地域の階層性を持ったデータセットを構築し,自然環境への心理的な反応特性醸成に至る人間―環境システム全体について,マルチレベル分析を通して検討することを目標とする。そのため,(1)社会生態学的情報においてはとくに1970年代以前の地図を基にした各集落間の移動の困難さの指標化と,(2)郵送による質問紙調査計画の実施の2点が中心的な課題となる。集落調査(B)では,ポストコロナ期の地域の方々の対応状況に配慮をし,可能であれば訪問集落を拡張する。 実験研究では,(1)2022年度に開発を開始した感情反応に注目した自然観察プログラムについて引き続きバージョンアップと観察会での実践検討を継続し,その効果性について測定・分析を行う。(2)また2022年度に開発した擬人化プライミング課題を用いて,実験室内での行動測定を試みる。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)