児童期における運動会の社会性発達への影響プロセス―集団社会化理論に基づく検討
Project/Area Number |
21K13687
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 10020:Educational psychology-related
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
久保田 愛子 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (90832907)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 学校行事 / 運動会 / 社会情緒性 / 集団社会化理論 / 教師 / 学級経営 / 特別活動 / 児童期 |
Outline of Research at the Start |
運動会は,児童の社会性を育む教育活動として,長きにわたり全国の学校で実践が重ねられてきた。小学校の運動会では,毎年本番に向け少なからぬ教師・児童の時間やコストをかけて準備がなされている。だが,いかなる実践要素が実際の児童の長期的な社会性の発達に効果を上げているのか学術的な意味では明らかでない。そこで本研究では,小学校における運動会での仲間集団体験が児童の社会性の発達に及ぼす影響を縦断的に検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,小学校の運動会における仲間集団体験が児童の社会性の発達に及ぼす影響を検討することを目的としていた。 2023年度は,昨年度実施した運動会に関わる縦断的な調査に関する分析を行い,日本教育心理学会ならびに日本発達心理学会において学会発表を行った。その結果,運動会の実施時期(春季あるいは秋季)によって,9月以降のクラスでの同化・差異化の状態,強み認識や社会参画意識に関わる発達上の軌跡に関わるのか等を検討した。しかし,運動会の実施時期によって発達上の軌跡は変わらないということが明らかになった。たとえば,社会参画意識は1時点目よりも2,3時点目の方が高いという結果であったが,その傾向は,運動会を秋に実施した学校でも春に実施した学校でも見られた。このことから,少なくとも本研究で測定した変数に関して,運動会を秋に実施することの固有の意味を見出すことはできなかった。 このような調査結果が見られた背景には,研究に協力してくださった学級の特性も関わっていると考えられた。たとえば春季に運動会を行っている学校として協力が得られた学校の多くは,特別活動の実践に熱心な担任教師の担当するクラスであった。そのため,2学期に運動会がなくとも,他の学校行事や学級活動等を通して,社会参画意識が育まれたのだと推察される。 縦断調査を行う際には,きめ細やかな調査が必要であるため,調査対象者選定の際,機縁法による調査方法がとられがちである。また,研究への同意を得る過程で,特別活動に関心が薄い学校や学級はサンプルから抜け落ちてしまいがちであるという限界がある。そこで2023年度の研究では,調査対象者が特別活動に熱心な児童のみに偏ることを避け,様々な特徴のある学校に所属する児童を対象として運動会の効果を検討するため,オンライン調査会社に委託することにより調査を行った。今後は,この調査結果を分析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では,数年にわたる社会情緒性の発達に対して運動会体験のもたらす影響を検討する予定でいた。しかし,これまで実施した縦断的な研究の分析結果から,そもそも機縁法による研究であるとサンプルに偏りが見られ,分析結果を正当な形で解釈しにくいことが明らかとなった。そのため,数年にわたる縦断的調査を行うという研究に進むことなく,改めてより様々な学校が含まれるオンライン調査を行うこととした。このことから,当初の予定からすれば,やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
縦断的な調査は現場への負担感が大きい手法でもあるため,研究協力校をどの程度確保できるかに関しての課題がある。また,機縁法によるサンプル回収であると,調査対象者が偏ってしまうという課題もある。 そのため,オンラインを活用して,回顧的に運動会での体験等を振り返る調査を実施することで,部分的に目的の検討を図る,1校を対象として,質的な研究手法を併用し,質問紙の結果の解釈を行う上での要因を探索する,あるいは,より大規模な縦断データの二次分析を行う等により,研究や分析を行うことを計画している。
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Report
(3 results)
Research Products
(11 results)