Project/Area Number |
21K13739
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | St. Catherine University |
Principal Investigator |
田村 優佳 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 准教授 (70627463)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | マインドフルネスと日常内観の併用 / 自他のグッドイメージの育成 / イメージの治癒力 / 内観3項目に視点を移して注意集中していく / 内観法と矯正教育の相乗効果 / 吉本内観法 / 認知活動 / メタ認知能力 / 自らの命の尊重 / 他者の存在の尊重 / 他者とかかわる感覚 / 犯罪少年の集中内観 / ロールレタリングの併用 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、集中内観とロールレタリングの併用により犯罪少年の心の中に抑圧されていた感情を表出させることによって、自己の内面の問題についての気づき、他者理解が深まることを検証する。また、本研究では、犯罪少年の内省に加え、自己の感情表出を促進する面接技法を開発することを目的にする
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度、西日本の少年院での内観法(集中内観)導入の実態を調査した結果、内観法を実施する少年院が激減していた。実施していない理由のうち、内観指導者がいない、矯正教育のカリキュラム増加といった速やかな解決策が提示できないものを除き、虐待経験のある在院者の増加、マインドフルネスの導入について考えた。犯罪(非行)少年には、家族からの被虐待経験のある者が多い。内観法でのエピソード記憶の想起がフラッシュバック等のトラウマ反応を引き起こす危惧があるというのが、実施を控えている理由となっているようである。近年になって、児童虐待が注目される中で被虐待児が見つけ出されやすくなっており、被虐待に伴う愛着障害やトラウマ反応(複雑性PTSD)のリスクに焦点が当たってきたが、被虐待体験にあまり頓着せずに内観法が実施された時代にも、内観3項目に視点を移して注意集中できるようになれば、精神的負担となるようなトラウマ反応を起こさず家族イメージの変容「グッドイメージの育成」がなされた事例があったと考える。実際、X少年院における集中内観法では、原則全ての在院者を対象に、2級進級後4週間経過を目途に開始し、犯罪(非行)少年の心理的抵抗も少なく、「やってよかった」「日常内観もしたい」と、内観へのモチベーションを感じることが少なくなかった。リスクとリカバリーの両面を踏まえて、慎重かつ柔軟な対応がなされるならば、内観法をことさらに除外する必要はないと考える。そして、メタ認知能力の育成だけを捉えれば、内観法の代用としてのマインドフルネスの活用も十分に考えられる。ただし、人間の心の発達にとって必要不可欠なことは、自他のグッドイメージをいかに育てるかということであり、これは内観法に備わった優れた特性である。諸般の事情により集中内観の実施が難しいのならば、マインドフルネスと日常内観の併用といった形が考慮されて良いと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
少年院での内観法の導入、活用について、他の手法(マインドフルネスやレタリング)との併用も含めて考察することができた。非行(犯罪)少年の場合、レタリングの相手は被害者やその家族が選ばれることが多いが、自己開示や自己表現での抵抗や抑制をできるだけ減らしたいと考えた。そのため、イマジナリー・フレンド的な「受容的なおばあさん」を設定し、自分の家族についての素直な自己表現を図ることを重視した。レタリングの背景にある心情や心理的変化について考察するための事例を集積することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
内観法では、家族関係での肯定的なエピソード記憶を通してグッドイメージを得ることが期待されるが、誰もが障壁なしに一直線に進む過程ではなさそうである。指定イメージ療法や内観法といった、過去の自分史を辿りながら内面に目を向ける手法では、「迷惑をかけられたこと」に集約されるような否定的、被害的な記憶想起も起こりやすい。マインドフルネス(サマタ瞑想)では、注意が逸れて雑念が生じると、それはそれとして身体感覚(呼吸等)に戻ることが助言される。内観法でも、過去に囚われたり、侵襲的な記憶想起は初期段階のプロセスであり、あくまで目的は内観3項目(「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」)の想起であることが強調される。例え時間を要したとしても、内観3項目に視点を移して注意集中できるようになれば、自然と感謝の念が深まる。グッドイメージがバッドイメージを包み込むような「イメージの治癒力」が強く働く可能性も考えられる。引き続き、内観法(集中内観)のリスクとリカバリーの両面を踏まえて、感覚、情緒、社会性、認知活動を検討していきたい。
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