Project/Area Number |
21K13744
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 10040:Experimental psychology-related
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University (2023) University of Tsukuba (2021-2022) |
Principal Investigator |
藤井 佑実子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (50638054)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 学習 / フィードバック / 表情 / 視知覚 / カテゴリー学習 / 刺激-反応連合学習 / ジェスチャー / 社会的フィードバック / 実験心理学 |
Outline of Research at the Start |
人間の学習は他者の表情などの社会的刺激から影響を受ける。学習時のフィードバックとして社会的刺激が与えられると、記号などの非社会的刺激が与えられた場合に比べて学習が促進されることが知られているが、この学習促進効果は、課題やフィードバック刺激の性質によって消失もしくは減退する可能性が懸念される。 本研究では実験心理学的手法を用い、連合学習において、表情やジェスチャーによる社会的フィードバックの学習促進効果が課題の難易度やフィードバック刺激の感情価・覚醒度に依存するか明らかにすることを目的とする。本研究により、実場面における効果的な教育指導法の確立に寄与することが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
先行研究では、表情などの社会的刺激によるフィードバック(社会的フィードバック)が、色などの非社会的刺激によるフィードバックよりも連合学習やカテゴリー学習などを促進することが報告されている。ただし、この社会的フィードバックの優位性は、課題内容や学習者の性質(文化等)などにより消失する可能性が考えられる。そこで本研究では、社会的フィードバックによる学習促進効果がどのような要因の影響を受けるか明らかにすることを目的とする。研究成果は、心理学や教育工学などの研究や実場面での教育・指導に寄与することが期待される。 1年目(R3年度)は、社会的フィードバックによる学習促進効果に関して調べるにあたり、学習中の脳活動に関する知見や視覚刺激の知覚特性に関する知見を充実させた。 2年目(R4年度)は、後述する3年目の本実験実施のために、フィードバックとする刺激を選出するための予備実験や、課題の認知要求を調整するための予備実験を行った。また、実験デザインに関わる知見を充実させるために物体の視知覚の特性について検討した。 3年目(R5年度)は、課題の認知要求の程度が社会的フィードバックの学習促進効果に与える影響を検討するために、これまでの成果や準備に基づいて、連合学習課題を用いた心理学実験を日本人を対象に行った。また2年目に引き続き、物体の視知覚の特性を検討した。 以上より主に次のことが示唆された。第1に、日本人において、社会的フィードバックは非社会的フィードバックよりも連合学習を促進することがわかった。第2に、潜在的系列学習の進行に伴い、刺激の視覚情報処理に関わる注意要求が減ることを、学習中の脳領域間の神経同期から捉えることができることを示した。第3に、物体の視覚特徴の組み合わせと位置の正確な知覚に影響する視覚情報処理上の要因を明らかにした。これらの成果のうち一部は国際的学術雑誌や国内学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の当初の研究計画は、課題の認知要求の程度(難易度とも言える)が、表情による社会的フィードバックの学習促進効果に与える影響について心理学実験を用いて検討することであった。また、表情と同じく社会的刺激であるジェスチャーが、表情と同じ性質を持ってフィードバックとして学習を促進するか検討することも計画していた。しかし、本年度は表情によるフィードバックの学習促進効果を検討するにとどまった。この検討にあたっては、連合学習課題を用いた実験を日本人を対象に実施した。実験実施後、結果分析を行った。ただし、成果発表まで年度内に完了できなかった。 このように計画を十分に遂行できなかった理由は、実験の準備や実験参加者集めなどに想定以上に時間を要したためである。さらに、令和3年度、4年度に続き、令和5年度3月にも再び研究代表者の所属研究機関に異動があった。これに伴い、異動の準備や研究環境の整備に時間がかかったことも研究の遅れにつながった。成果の一部は、国際的学術雑誌や国内の学会にて公表できているものの、前述の理由により当初の計画通りには研究が進んでいないためやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の当初の計画に遅れがあるため、まずはその遂行を目指す。具体的には、課題の認知要求の程度が表情やジェスチャーによる社会的フィードバックの学習促進効果に与える影響について心理学実験を用いて検討する。実験で用いる表情によるフィードバック刺激は、先行研究の多くでは静止画像形式のものを用いていることが多く、本年度に行った本研究の実験でも静止画像を用いたが、実場面でのより自然な状況を再現して検討するために、次年度は動画形式のものを用いて改めて検討を行うこととする。実験では、連合学習課題もしくはカテゴリー学習課題における認知要求の増加に伴って社会的フィードバックの学習促進効果がどのように影響を受けるかを、課題中の行動パフォーマンスや生体情報を測定することによって検討する。
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