Project/Area Number |
21K13786
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 11020:Geometry-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
一木 俊助 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (80836346)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 特異点論 / トポロジー / 多目的最適化 / 横断性定理 / 安定写像 / 写像の特異点論 |
Outline of Research at the Start |
ジョン・マザー(1942-2017)の重要論文“Generic projections, Annals of Mathematics.98 (1973),226-245”を起点とするジェネリックな写像に関する研究は,ここ半世紀の間にも様々な形で発展・改良されている.しかしいずれも「ジェネリックでない写像のパラメータ集合(bad set)はルベーグ測度0」という観点に留まっており,bad setの次元の評価が困難である.そこで「ルベーグ測度」の拡張概念である「ハウスドルフ測度」を本研究領域に取り入れ,既存の諸結果を発展させる.さらに多目的最適化への応用も与え,異分野融合・産学連携に貢献する.
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Outline of Annual Research Achievements |
ハウスドルフ測度という新たな観点からのパラメータ横断性定理の応用に関する論文が,Journal of the Mathematical Society of Japanに受理された.本論文には,特異点論だけではなく,多目的最適化への応用も含まれる.なお,特異点論の最適化への応用については,ポーランドのワルシャワ工科大学にて行われた国際研究集会「WORKSHOP ON MATHEMATICS FOR INDUSTRY」にて,学生や若手研究者向けに,45分×3コマのミニコースにて招待講演を行うなどの実績もあげることができた. さらに,位相的安定写像の稠密性問題に関する論文が,International Mathematics Research Noticesに受理された.本問題は,20世紀半ばに提出された「位相的安定写像は写像空間内に稠密に存在するだろうか」という特異点論における一つの重要な問題であり,1973年にジョン・マザーにより,固有写像に限った部分空間内においては,肯定的に解決された.このことから,定義域多様体がコンパクトな場合においては,写像空間全体の中で,位相的安定写像は稠密に存在することが従う.本論文は,この結果に一石を投じるものであり,定義域多様体が非コンパクトな場合は,位相的安定写像はいつでも非稠密であることを示した.さらに本結果をマザーの結果と合わせることにより,写像空間全体における位相的安定写像の稠密性の特徴付け(具体的には,写像空間全体において,位相的安定写像が稠密に存在することと,定義域多様体がコンパクトであることが実は同値であった)も副産物として得られ,約半世紀前の重要な結果に新たな情報を供給できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度,「今後の研究の推進方策」として,特異点論の1つの基盤である「トムのジェット横断性定理」や,その多重バージョンである「マザーの多重横断性定理」を,(特異点論的に意味のある)部分空間にも適応可能な形へ一般化するという課題を加えた.そして成果としては,トムのジェット横断性定理の一般化及び,そのいくつかの応用を得ることに成功した.つまり,様々な部分空間(特に痩せた部分空間)の中のジェネリックな写像のもつ特異点を調べるための基本的道具を開発できた.また,本結果により「部分空間のジェネリシティー」という新たな観点も芽生え,まさにジェネリシティーの先駆的研究のための道具が生まれたと言える. 他方で,多重バージョンとその応用までは時間的に手が届かず,論文執筆も開始できていないため,やや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
部分空間にも適応可能なマザーの多重横断性定理及び,そのいくつかの応用を与え,論文執筆・投稿まで完了させる. さらに余裕があれば,現状中途半端になっている以下の研究にも決着をつけたい:これまでの研究から,可微分多様体からユークリッド空間への単射写像と,そのユークリッド空間から別のユークリッド空間への写像のジェネリックな線形摂動との合成に関する,ハウスドルフ測度の観点からの横断性定理とそのいくつかの応用は得られている.しかし,bad set(ジェネリックでない線形摂動全体の集合)のハウスドルフ測度(あるいはハウスドルフ次元)の評価が最良かどうかという未解決部分が含まれている.そこで,それらの各結果に対して,その評価が最良であることを裏付ける例を構築し,論文執筆・投稿まで完了させたい.
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