ケラー・シーゲル型偏微分方程式系に対する解の構造の解析
Project/Area Number |
21K13815
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石田 祥子 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (60712057)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | 走化性方程式 / 癌浸潤モデル / 間接的走化性方程式 / 大域可解性 / 解の安定化 / ケラー・シーゲル・ナヴィエ・ストークス系系 / 解の存在 |
Outline of Research at the Start |
ケラー・シーゲル系は走化性と呼ばれる特徴をもつ生物の運動を記述する系であり, 国内外で活発に研究が行われている. この系に流体力学において重要な方程式であるナヴィエ・ストークス系を組み合わせたケラー・シーゲル・ナヴィエ・ストークス系は, 歴史が浅いが可解性や解の安定化に関していくつかの結果が報告されている. 2つの系は方程式の構造としては近いにも関わらず, 数学解析の基礎である可解性においても特性が異なり数学的に大変興味深い. 本研究の目的はこれら2つの系に対する解の構造(可解性・漸近挙動・爆発) を解析・比較することである.
|
Outline of Annual Research Achievements |
[具体的内容] 本課題は質量保存則をもつ放物型方程式 (parabolic equations with divergence form)の基礎解析が目的である。このような方程式の典型例は多孔質媒質中の流れを記述するポーラスメディア方程式、生物の走化性を記述するケラー・シーゲル系、癌細胞の正常な細胞への浸潤を記述する癌浸潤モデルなどがある。2022年度にまとめた解の安定化に関する研究の発展として、放物楕円型ケラー・シーゲル系に対する解の安定化(Archivum Mathematicum, Vol.59 (2023), No.2, 181--189)と、2つの未知関数に依存する退化型拡散項をもつ癌浸潤モデルに対する解の安定化(Discrete and Continuous Dynamical Systems-Series B (2022))について報告した。これらは横田智巳氏 (東京理科大学)との共同研究である。また、癌浸潤モデルに対する大域可解性に取り組んだ。このモデルは藤江-仙葉(2019)、Jin-Liu-Shi (2018)から、Nを空間領域の次元として拡散の強さmと非線形項の強さaに関する条件a<m+4/Nが大域可解性の臨界であると予想されていた。我々の研究では最大正則性原理やソボレフの埋め込み定理を用いる事でこの予想を肯定的に解決した。この手法は先行研究よりも単純かつ明快であり、その結果、臨界条件 (a=m+4/N)においても初期値の小ささを仮定することで時間大域的に解が存在することを証明した。この研究成果は横田智巳氏 (東京理科大学)との共同研究として国際論文誌に投稿中である([1])。 [意義]上記の結果[1]は3連立の間接的走化性方程式にも応用することが出来る。この応用から間接的走化性方程式は線形拡散放物型方程式が1つ連立されるごとに、時間大域存在の臨界値が2/Nづつ大きくなると予想できる。現在は単なる予想にとどまっているが、今後、類似した数理モデルが提唱された際には[1]の手法が利用できると期待している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた感応性関数をもつケラー・シーゲル系に対する解の安定化については未着手だが、次年度以降に予定していた、2つの未知関数に依存する退化型拡散項をもつ癌浸潤モデルの解析に取り掛かった。まず、藤江-石田-伊藤-横田(2018)と同じ系に対し解の安定化を示した。その後、凝集項を一般化したモデルに対する時間大域可解性の予想を肯定的に解決し、解の有界性・安定化の結果と合わせて論文として投稿している。これらから本課題はおおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、Johannes Lankeit氏(ドイツ, ハノーファー大学)とGiuseppe Viglialoro氏(イタリア, カリアリ大学)との共同研究である、勾配ベースの減衰項を導入した走化性方程式に対する大域可解性について考察を進めている。研究打ち合わせを重ね、すでに数学的議論と証明の計算は終えているため、論文としてまとまりしだい国際論文誌へ投稿予定である。その後は、感応性関数をもつケラー・シーゲル系に対する解の安定化と、fast diffusion型の拡散項をもつケラー・シーゲル系の可解性を中心に研究を進めていく。
|
Report
(2 results)
Research Products
(9 results)