動的平均場理論を用いた共鳴非弾性X線散乱のマルチスケール解析手法の開発と応用
Project/Area Number |
21K13884
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022) Osaka Prefecture University (2021) |
Principal Investigator |
播木 敦 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 助教 (90875783)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 共鳴非弾性X線散乱 / 第一原理計算 / 近藤効果 / スピントロニクス / 超伝導 / 遷移金属酸化物 / 動的平均場理論 / 強相関電子系 / 素励起 |
Outline of Research at the Start |
近年、共鳴非弾性X線散乱では実験の超高分解能化が進み、強相関物質を調べるプローブとして注目されている。しかし、データ解析には従来のクラスタ模型が変わらず用いられているため、超高分解能スペクトルが含むはずの伝導現象や素励起現象の情報を抽出できず、得られる知見は高分解能化に見合っているとは言えない。本研究では、密度汎関数理論と動的平均場理論に基づく理論枠組を軌道・バンド自由度と素励起間相互作用を扱えるように拡張することで、超高分解能RIXSから強相関物質の伝導現象を解明し、新奇素励起を探知できる新しい解析手法を構築し、強相関物性の問題(超伝導Ni酸化物、エキシトン凝縮、近藤転移)に取り組む。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、近藤転移と共鳴非弾性X線散乱(RIXS)スペクトルの低エネルギー励起構造の関係を調べた。昨年までに開発・整備した密度汎関数理論(DFT)と動的平均場理論(DMFT)に基づくRIXSスペクトルの計算コードを4f軌道自由度を扱えるように拡張した。近藤格子系の典型物質であるCePd3を研究対象として選び、M端RIXSスペクトルの温度依存性を計算し、RIXSの低エネルギー構造が近藤ギャップの形成やCe4fバンドの繰り込みを直接反映することを見出した。欧州の実験グループが最近測定したRIXSの温度変化と今回の計算結果がよく一致していることも確認できた。また、DFT+DMFT法で計算した一粒子スペクトルとRIXSの実験スペクトルの運動量依存性の比較から、近藤格子状態の形成に伴う非占有帯の4f状態の温度変化も明らかにした。また、ブルックヘブン国立研究所の実験グループと共同でFe2O3の高分解能RIXSを調べ、L端RIXSで5次までのマグノンを観測できることを示した。光学遷移選択則を正確に考慮したDFT+DMFT法によるRIXS計算とスピン波理論を用いて計算した運動量分散の結果を組み合わせ、5次までのマグノン分散特性とその光励起機構を明らかにした。L端RIXSの中間状態で内殻軌道に働く大きなスピン軌道相互作用及び内殻電子と価電子の多重項相互作用を正確に考慮することが、高次のスピン励起を理解・予言するために重要であることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RIXSと近藤転移の関係について新たな知見を得ることができ、実験グループと共同で研究成果をNature Communications誌に出版した。さらに当初の予定にはなかったが、Fe2O3のFeL3端RIXSの理論解析を行い、多重マグノンの励起過程と分散特性を明らかにした研究成果をPhysical Reivew X誌に出版した。来年度実施予定である「ボーズ粒子動的平均場理論」を用いた励起子絶縁体の候補物質のRIXS解析を行うための計算コードの開発にも着手することができ、単純なモデルに対して予備計算を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り、ボーズ粒子動的平均場理論を用いて励起子絶縁体の計算を行う。必要な計算コードの実装に既に取り掛かっており、内部自由度を簡略化した模型に対して予備計算を行っている。コバルト酸化物やルテニウム酸化物などの候補物質の低エネルギー自由度を適切に考慮できるように計算コードを一般化して、励起子凝縮に伴うRIXSスペクトルの変化を調べていく。また、RIXSの多重マグノンの励起可能性に関して今年度得られた知見をもとに、最近注目されているAltermagnetic系におけるマグノンの分散やそのカイラリティをRIXSを用いて調べる方法も検討していきたい。
|
Report
(2 results)
Research Products
(23 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article] CaCu3Ru4O12: A High Kondo-Temperature Transition Metal Oxide2022
Author(s)
D. Takegami, C. Kuo, K. Kasebayashi, J. Kim, C. Chang, C. Liu, C. Wu, D. Kasinathan, S. Altendorf, K. Hoefer, F. Meneghin, A. Marino, Y. Liao, K. Tsuei, C. Chen, K. Ko, A. Gunther, S. Ebbinghaus, J. Seo, D. Lee, G. Ryu, A. Komarek, S. Sugano, Y. Shimakawa, A. Tanaka, T. Mizokawa, J. Kune, L. Tjeng, and A. Hariki
-
Journal Title
Physical Review X
Volume: 12
Issue: 1
Pages: 0110171-12
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-