ファンデルワールス超薄膜・界面設計に基づく創発二次元物性開拓
Project/Area Number |
21K13888
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | The University of Tokyo (2023) Institute of Physical and Chemical Research (2021-2022) |
Principal Investigator |
松岡 秀樹 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (20897681)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ファンデルワールス物質 / 薄膜 / 磁性 / 超伝導 / 二次元 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、二次元物質特有の対称性の破れと物理現象のカップリングに着目し、二次元物質薄膜の設計自由度の高さを生かした新現象を開拓する。特に物性研究において重要な役割を果たす二軸、「超伝導」と「磁性」に焦点を絞り、二次元物質の特長である設計自由度の高さと対称性制御を利用することで、バルクにはない創発二次元物性の開拓を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ファンデルワールス結晶を薄膜化して得られる二次元物質において超伝導・磁性物性の開拓に臨む。本年度の研究では、以下の二点において成果があった。 ①磁性研究の対象を、ファンデルワールス磁性体の一種であるテルル化クロムに拡張し、その磁性物性のゲート制御を行った。クロム化テルルは磁性体の中でも磁性半金属と呼ばれる物質の一つであり、その特異な電子状態に起因して多様な機能性を提供することが期待される。その一環として本研究ではクロム化テルルを対象としたゲートデバイスを作製し、ゲート電圧の印加によって磁気転移温度、磁気異方性といった磁気的性質を大幅に制御することに成功した。加えて、この制御において見られた非単調なゲート応答は、本物質における磁性が半金属的な電子状態と密接に関連することを示唆するものであった。本成果を論文にまとめ、学術雑誌において発表した。 ②同じくテルル化クロムの薄膜において、トポロジカルホール効果と呼ばれる非自明な伝導現象を観測することに成功した。トポロジカルホール効果を発現する磁性体の開拓は次世代の磁気デバイスの実装にあたり重要であるが、本研究ではテルル化クロムがトポロジカルホール効果を発現し、それが室温かつゼロ磁場においても発現することを見出した。以上の結果により、磁性半金属の一種であるテルル化クロムという新たな物質系において、従来の物質系では見られないような劇的なゲート効果・伝導現象が観測されたことにより、磁性半金属を主役とする新原理スピントロニクスデバイスへの応用展開が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の特筆すべき進捗として、磁性半金属テルル化クロムにおけるゲート制御の実現が挙げられる。そもそも、電気が流れる磁性体の研究は、スピントロニクスデバイスへの応用展開の可能性から大きな注目を集めてきた。中でも、磁性半金属は、そのバンド構造におけるバンド交差点が磁性と関連し、多様な機能性を提供することが期待されている。 その応用の一つとして、ゲート電圧によって磁性を制御できるデバイス、すなわち磁性体ゲートデバイスの開発がある。磁性体ゲートデバイスの研究はこれまで主に金属磁性体や希薄磁性半導体を中心に精力的に行われてきた。一方で、磁性半金属を用いた磁性体ゲートデバイスでは、磁性半金属のバンド交差点付近に存在する伝導電子が、強磁性転移温度、磁気異方性、磁気輸送特性など、多岐にわたる磁性に影響を及ぼすことが期待されるが、磁性半金属は存在が希少ということもあり、そのような研究はほぼ行われてこなかった。 本研究では、ごく最近磁性半金属であることが明らかになったテルル化クロムという物質系に注目し、イオンのインターカレーションを利用したゲート技術を適用することで、テルル化クロムの磁性をゲート電圧で大きく変調することに成功した。具体的には、ゲート電圧を細かく変化させることでテルル化クロム中に存在する伝導電子の数を精密に制御したところ、強磁性転移温度の大幅な上昇や、面直磁気異方性と面内磁気異方性の完全な切り替え、さらには異常ホール効果と呼ばれる磁気輸送現象の符号反転などの劇的な変化が観測された。特に興味深いのは、これらの磁性を特徴付ける性質が、ゲート電圧に対して非単調に切り替わる点であり、磁性半金属特有の特異な伝導電子がその本質的な役割を担っていることが示唆される結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、テルル化クロムにおいて観測されたトポロジカルホール効果について、その詳細を明らかにしつつ論文化を目指す。特に、テルル化クロムは上述の通りゲートによる制御が効果的である物質であることから、トポロジカルホール効果自体をのゲートによって制御できることが期待される。もしトポロジカルホール効果が、室温かつゼロ磁場で制御できれば本物質を活用することによる磁性半金属を主役とする、新しいスピントロニクスデバイス技術への応用展開が期待できる。
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Report
(3 results)
Research Products
(17 results)
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[Presentation] Magneto-transport properties of the V5Se8 / NbSe2 van der Waals heterostructures2021
Author(s)
Hideki Matsuoka, Masaki Nakano, Stewart Edward Barnes, Jun'ichi Ieda, Sadamichi Maekawa, Mohammad Saeed Bahramy, Bruno Kenichi Saika, Yukiharu Takeda, Hiroki Wadati, Yue Wang, Satoshi Yoshida, Kyoko Ishizaka, Yoshihiro Iwasa
Organizer
RPGR 2021
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Int'l Joint Research
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