Project/Area Number |
21K13937
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 栄輔 長野工業高等専門学校, 情報エレクトロニクス系, 助教 (10875579)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | シンチレータ / 電磁カロリメータ / ニュートリノ / プラスチックシンチレータ / 放射線検出器 |
Outline of Research at the Start |
プラスチックシンチレータは,放射線検出器として素粒子・原子核実験や医療の分野などの様々な分野で使用されて成熟した技術であるが,加速器実験のカロリメータでは大量生産性とシンチレータ形状の工夫,ニュートリノ実験では大型化と高機能化の面で課題があるため、低コストでありながら,大量生産性と形状自由度が高く,また,放射線感度の高い機能性プラスチックシンチレータの需要が高まっている。 本研究では,プラスチックシンチレータという成熟した技術を今後さらに発展させることが可能なのかという「問い」に対して,常温硬化プラスチックシンチレータという新技術を用いることで素粒子実験分野での発展的利用につながる研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
将来の加速器実験における多チャンネルカロリメータやニュートリノ実験のための機能性プラスチックシンチレータの大型化を目指し、本研究では常温硬化樹脂を用いたプラスチックシンチレータの開発を行ってきており、常温で作製可能という特徴をいかした高機能化について研究してきた。 多チャンネルカロリメータに向けたプラスチックシンチレータの大量生産のため、切削研磨加工が不要な作製方法によりストリップ状の常温硬化シンチレータを試作した。型材として耐薬品性プラスチック材やシリコーンゴムなどの加工が容易な材質の型を用いることで、研磨不要で形状自由度の高い成形手法を開発できた。現在議論されているストリップシンチレータと同様の形状に作製してβ線測定を実施したところ、β線入射位置依存性の抑制を確認できた。 また、ニュートリノ検出器に向けた大型プラスチックシンチレータに関する研究も進めることができた。常温硬化という特長を利用して簡便な大型化が可能かどうか確認した。常温硬化シンチレータのブロックを2つ用意し、硬化前シンチレータを用いてブロック同士の接合を試みた。同一材料を用いて接合するため、ブロック間の境界面における光の屈折や反射が起こりにくいというメリットもある。β線測定により光減衰を確認したところ、ブロック間の境界面における有意的な光減衰は見られず、優秀な接合方法に成功した。 一般に、市販の機能性プラスチックシンチレータは高価であるため、既存の研究環境で機能性プラスチックシンチレータを手軽に使用した新しい実験の立ち上げや検出器の試作をすることは難しい場合が多い。これまでの素粒子物理学実験の検出器に使用されてきた機能性添加剤を、本研究の常温硬化プラスチックシンチレータに添加して試作した。常温下の作製においてシンチレータの透明性を保持しながら添加可能な機能性添加剤が見つかり、今後の性能向上に期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
常温硬化プラスチックシンチレータを将来の加速器実験のカロリメータや、原子炉近傍におけるニュートリノ検出器へ適用するための研究を進めることができた。電磁カロリメータに向けた研究では、実際に使用されうる形状への試作に成功し、開発した作製手法は大量生産に適している。ニュートリノ検出器に向けた研究では、硬化前常温硬化シンチレータポリマー液を用いたシンチレータブロック同士の接合による大型化に成功した。同一材料を用いた接合であるため、ブロック間の境界面における光伝搬が損なわれにくい。β線源を用いた測定をして、ブロック間の境界面による有意的な光減衰は見られなかった。 次年度は当初の計画に従い、電磁カロリメータに向けた位置依存の小さい光読み出しに長ける常温硬化ストリップシンチレータを開発し、ニュートリノ検出器に向けた常温硬化シンチレータの機能性向上を進めていくことができる現状にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、常温硬化プラスチックシンチレータの低コスト性を保ちながら、形状自由度の高さと大量生産性を両立した成形方法に関して研究していく。常温硬化プラスチックシンチレータを成形するための型として、安価で加工容易な材質を使用可能であるため、型材や型の製造方法に対する選択肢の幅が広いという特長をいかして大量生産に最適な切削加工不要の成形方法に関する研究を進める。この成形方法の研究は、電磁カロリメータのためのストリップ状シンチレータ開発およびニュートリノ検出器のためのシンチレータブロック開発の両方につながる研究である。
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