Project/Area Number |
21K13988
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 17010:Space and planetary sciences-related
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Research Institution | Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
小松 勇 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, アストロバイオロジーセンター, 特任研究員 (20769757)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | アストロバイオロジー / 光合成色素 / 量子化学計算 / 太陽系外惑星 |
Outline of Research at the Start |
太陽系外惑星の観測も地球のような生命を育む惑星の特徴付けのフェイズに入る。今後の観測は太陽より低温度の恒星周りの惑星に焦点が当たり、そのような光環境で想定される分光学的な光合成の痕跡がどのように観測されるかに興味が持たれ、分野横断的な議論が必要になる。 本課題では、量子化学計算を用いて、水を酸化する能力があり、より赤い光を吸収する分子で既存の光合成色素を代替できるかを調べる。これにより、酸素を発生する光合成における長波長限界の参照値の更新、さらには何故限られた光合成色素が選ばれたかの必然性についても定量的に示すことを目指す。今後、水や酸素、オゾンの検出と併せた、生命の同定に役立つであろう。
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Outline of Annual Research Achievements |
太陽系外惑星における光合成生物の痕跡を検出するために、レッドエッジという700nm付近で植生の反射率が大きく増大する分光学的特徴を検出することが提案されている。レッドエッジを示す波長は、光合成色素クロロフィルの主な光吸収帯によって決まっている。現在の観測ターゲットである低温度星周りの惑星では近赤外光が卓越するので、光環境に順応した色素に応じてレッドエッジを示す波長域が変わるかも知れない。本研究では植物がクロロフィルよりも長波長の光を吸収する分子を持つ可能性が物理化学的な観点からどの程度現実的であるかを示すために、近赤外光を吸収しつつ水を酸化する酸化還元力を有する分子を量子化学計算によって探索した。これによって、惑星における液体の水、酸素、植生の観測可能性への示唆に繋げたい。 本年度は、光合成色素やそれ以外の大きな環状分子を対象に、様々な手法や精度で励起状態を算出することを継続しつつ、酸化還元電位の評価もいくつかの計算方法で行った。単量体だけでなく、光合成の反応中心で重要な2量体の計算も一部行った。特に、光合成反応中心のスペシャルペアとして機能している色素である、クロロフィルa、バクテリオクロロフィルa、b、gに関してはより詳細な酸化還元力の推定を行った。具体的にはADMPを用いて温度を与えて時間発展させた上で、酸化還元ポテンシャルを算出しており、精度を変えて評価している。量子化学計算による計算の実行を継続しつつ、機械学習を用いた物性推定に移行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光合成反応中心のスペシャルペアに採用されている光合成色素の酸化還元電位のより正確な推定が重要になるので、Gaussianを用いたADMPによって温度をいくつか与えて時間発展を追った上で精度比較するなど、多くの試行を要した。一方、分子2量体についてのBethe-Salpeter法による信頼性の高い電子励起状態の計算は想定していた計算精度ではマシンのメモリが足りず実行が難しく、TDDFT計による結果で代用することが現実的であることがわかった。このようにコストのかかる計算を想定以上に要した。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化還元電位の詳細な算出を継続しつつ、さらに他の分子についての励起状態、酸化還元力を適度な精度で推定していく。蓄積したデータを既存のデータベースと接続して、機械学習によって低精度の計算結果から高精度の量が推定できないかを調べる。
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