Project/Area Number |
21K13993
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 17020:Atmospheric and hydrospheric sciences-related
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
林 未知也 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主任研究員 (40898160)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 全球気候モデル / エルニーニョ・南方振動 / 大気海洋相互作用 / 雲降水過程 / 気候モデルバイアス / エルニーニョ / ENSO / 気候変動 |
Outline of Research at the Start |
多くの数値気候モデルは、エルニーニョ・南方振動(ENSO)の発達に関わる諸過程が弱すぎるにもかかわらずENSOの海面水温・降水量の変動幅が現実的に表現されてしまう問題を抱えているが、ENSO諸過程の系統誤差の根本的要因はまだ分かっていない。 本研究では、ENSO諸過程の系統誤差をもたらす仕組みを、モデル化された熱帯の雲降水過程の系統誤差などに着目したデータ解析と数値実験に基づき理解することを目標とする。 これにより、気候モデルにおいてENSO諸過程と雲降水過程の再現性の向上させる手法を提案でき、また地球温暖化に伴うENSOの将来変化のより正確な予測につながることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
多くの数値気候モデルが、エルニーニョ・南方振動(ENSO)の発達率に関わる主要な正と負のフィードバック過程の両方が弱すぎるにも関わらず一見正しいENSOの振幅をシミュレートするという、フィードバック系統誤差(バイアス)の相互補償問題を抱えているが、大気内部に起因するENSOフィードバックバイアスについての詳細はよくわかっていない。しかし、フィードバックバイアスはENSOの将来変化や気候の将来予測の不確実性などに関わるため、気候モデルのさらなる改善のためにバイアスが生じる仕組みを理解する必要がある。本研究では、多くの気候モデルにおいて海面水温変動に対する熱帯の雲降水および大気循環の変動が観測と整合しない要因を明らかにするために、第6期結合モデル相互比較計画(CMIP6)に参画する約30種類の気候モデル実験出力を観測的なデータと比較した。まず、大気モデル実験において海面水温変動に対する熱帯の降水の応答はバイアスが小さいものの、降水変動に対する大気循環応答が系統的に過小評価されていることを明らかにし、そのバイアスを背景場のバイアスと関連付けることに成功した。また、簡素な数値モデルの実験による実証の準備を進めた。以上の内容の一部はいくつかの国際学会で講演済み・講演予定であり、国際学術誌へ再投稿予定である。また、ENSOのフィードバックや統計的特性が観測と比較的整合する気候モデルの一つであるMIROC6およびMIROC-ES2Lを用いた実験出力と、2年度目から実施したスーパーコンピュータを用いたMIROC6実験結果から、ENSOの将来変化の要因と仕組みの調査を進めており、その成果の一部は国際学術誌に出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気候モデルMIROC6による過去再現実験および将来予測実験のENSOの振幅の変化についての解析結果を共著論文として出版した。また、2年度目からスーパーコンピュータを用いて実施したMIROC6実験結果の解析により、ENSOの将来変化の要因分析内容を支持する成果が得られた。また、学術論文を気候モデルバイアスについて1件を国際学術誌へ再投稿準備中であり、そのために必要となった簡素な数値モデルによる実証実験の準備が概ね完了している。また、国際共同研究として進めてきた中程度に複雑な熱帯気候モデルの開発について1件の学術論文を米国気象学会誌へ投稿した。以上の内容について米国ハワイ大学の研究者と議論を進め、共同研究として実施している。これらの年度内の一定の進捗を踏まえて、おおむね順調に本研究課題の進展があると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
CMIP6の気候モデルの実験出力に基づいて大気内部のフィードバックバイアスを明らかにした内容について、簡易な数値モデル実験により実証を試み、国際学術誌への再投稿をする予定である。また、投稿中の中程度に複雑な熱帯気候モデル開発の内容について出版に向けた作業を実施するとともに、ENSOの大気フィードバックを制御する理想的な実験等への活用を検討する。さらに、ENSOの将来変化予測について、米国ハワイ大学との国際共同研究として進め、ENSOの統計的特性の変化及びENSOフィードバックの将来変化についてまとめることにより、国際学術誌への投稿を目指す。
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