金属/絶縁体相転移界面におけるフォノン散乱挙動の解明
Project/Area Number |
21K14092
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 19020:Thermal engineering-related
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
馬場 将亮 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (10826176)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
|
Keywords | 金属―絶縁体相転移材料 / 熱制御 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は,金属/絶縁相転移界面におけるフォノン挙動(伝熱特性)の解明である.二酸化バナジウム(VO2)は,室温付近で金属―絶縁体相転移をする材料であり,相転移前後で結晶構造が変化し,熱・電気物性が大きく変化する.我々はこれまでの研究で「VO2は材料内部に金属相と絶縁体相の界面がある時に熱伝導率が低下する」という現象を観察している.この現象は,金属/絶縁体界面におけるフォノン散乱(熱輸送の阻害)に起因していると考えられる.そこで本研究では,界面熱抵抗の測定を通して金属/絶縁体界面におけるフォノン散乱挙動を分析し,この現象を用いた熱制御素子の実現可能性を検討する.
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,金属/絶縁体界面におけるフォノン散乱挙動の解明である.金属/絶縁体界面をつくる手法としては,二酸化バナジウム(VO2)とタングステンドープしたVO2(W-VO2)を用いる.VO2は室温付近で可逆的な相転移をする材料であり,相転移温度以下では絶縁体(単斜晶),相転移温度以上では金属(正方晶)となる.また,VO2にWをドープすると相転移温度が低下する.VO2とW-VO2の積層体(VO2/W-VO2)では,両材料の異なる相転移温度に起因して,ある温度範囲において積層界面が金属/絶縁体界面となる.金属/絶縁体界面でフォノン散乱が起きるとすると,この温度範囲において素子の熱抵抗が増加し,熱が流れづらくなる.つまり,ある温度範囲だけ高い熱抵抗を示す素子が作製できる.本技術が確立すれば,熱レギュレータ(温度を一定に保つ素子),熱ダイオード(熱流を整流する素子)を設計できる. 本研究では,RFマグネトロンスパッタリングを用いてVO2/W-VO2積層体および各材料の単層素子の作製を行った.スパッタリング法によりアモロファスのVO2膜を成膜し,熱処理により結晶化させることで素子を作製している.この熱処理が膜の電気物性,組成に与える影響を評価し,単相性が高く,相転移に伴う抵抗変化が大きな膜を作製できる条件を確立した.その後,積層素子を作製し,金属/絶縁体界面があると熱抵抗が増加することを確認した.さらに,最終年度では各温度で光の反射率,透過率を測定し,光物性の変化からVO2膜の相転移の有無を調べる方法を確立した.これらの研究を通して金属/絶縁体界面におけるフォノン散乱挙動の解明に資する成果を得た.
|
Report
(3 results)
Research Products
(7 results)