Ferromagnetism in polycrystalline two-dimensional transition-metal chalcogenides and applications
Project/Area Number |
21K14193
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 21050:Electric and electronic materials-related
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宗田 伊理也 東京工業大学, 工学院, 助教 (90750018)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 2次元層状物質 / スピントロ二クス / スピントロニクス / 遷移金属カルコゲナイド / 半導体 |
Outline of Research at the Start |
電子デバイスの数の増大にともなう消費電力の抑制が重要である。強磁性の不揮発性を活用した電子デバイスはスタンバイ時の電力を削減でき、魅力的であるが、動作時の消費エネルギーの抑制が課題である。本研究では、遷移金属カルコゲナイド二次元層状薄膜MoS2が示す強磁性に注目し、その原理を実証することを目指す。さらに、強磁性を極めて小さい消費電力で電気的に制御する方法を開発することを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
磁化測定に関して、前年度に引き続き、成膜温度依存性を測定し、測定点を増加させた。また、磁化の膜厚依存性の測定を実施し、2層の二硫化モリブデンで磁化が観測された。 測定方法を再検討し、ストローを用いた測定のほか、石英スティックに試料を張り付ける方法を試みた。この測定方法では、石英スティックのみで磁化測定したデータを、試料を張り付けた場合のデータから差し引きことで、石英スティックの影響を除去することが可能である。また、試料がずれる心配がない。一方、接着剤にコンタミネーションが付着するおそれがあり、注意深い測定が必要である。 磁気抵抗に関して、電流の大きさを桁で変化させると、磁気抵抗の磁場依存性が大きく変化することを見出し、測定結果を詳細に解析した。観測した現象の説明として、電流による電荷トラップが発生し、電子濃度が変化することにより局在スピン密度が増減するモデルを考えた。スピンの交換相互作用の強弱が変化し、保持力の変化により正の磁気抵抗の磁場依存性の形状が大きく変化するとした。また、電流電子によるスピン軌道トルクにより磁化方向が容易に変化することが、線形の磁気抵抗が観測される要因であると説明を加えた。一方、電流によるスピン軌道トルクのみでは磁化方向が変化するには電流密度が小さすぎるため、電子濃度の変化にともなう軌道磁気モーメントの変化が磁化方向の変化に作用するだろうと仮説を立てた。正の磁気抵抗効果のほか、線形の磁気抵抗効果が観測されることは、物理現象として稀であり興味深い。電流が小さく、低消費電力でスピン磁性を制御できる可能性を感じる。これらデータをまとめて論文を出版した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に測定することに成功した飽和磁化の成膜温度依存性について、300度から600度までの温度範囲において、測定点数を増やし、系統性があることを確認することに成功したことが理由の一つである。また、磁化の膜厚依存性を1nmから10nmの範囲の三点において、データを得ることに成功し、二次元強磁性の強磁性磁気秩序発現機構の解明に近づいたことが二つ目の理由である。三つ目の理由としては、4Kにおいて磁気抵抗の観測に成功し、電流の大きさに依存して磁気抵抗の磁場依存性の形状が大きく変化することを見出したことが挙げられる。本年度においては、これらのデータを解析し、物理モデルを提案し、論文を出版した。
|
Strategy for Future Research Activity |
二硫化モリブデンが単結晶では非磁性だが、結晶欠陥があると強磁性を示す性質の詳細を明らかにし、非典型強磁性体の学理の基礎の構築を推進する。強磁性を明確に示すことを証明するために、磁気異方性の観測や、強磁性共鳴の観測、異常ホール効果の観測、磁気光学効果の観測など、様々な磁気現象の観測を試みる。また、スピントロニクスデバイスの基礎として、室温における磁気抵抗の観測の試みや、電界効果による磁気抵抗の変調を試みる。さらには、ドーピングによる磁化変調を試みる。 一方、強磁性の起源を明らかにするため、走査型トンネル顕微鏡STM/STSを用いて、グレイン内部、及び、グレイン境界の電子構造、エネルギーバンド、エネルギーギャップ、バンドのオフセット、エネルギー障壁、禁制帯中のエネルギー準位を詳細に明らかにすることを試みる。また、SiO2/Si基板以外に、サファイア基板やフッ化カルシウム基板など様々な基板上に二硫化モリブデンをスパッタ成膜し、結晶構造の違いと強磁性の特性の変化を明らかにすることを試みたい。 さらには、飽和磁化が最大となる成膜条件を探索する際、機械学習を活用して複数の成膜条件のパラメーターを効率的に探索し、研究遂行過程の最適化を試みる。 最終年度の研究方針としては、磁化測定に注力する。特に、磁化の成膜温度依存性のデータをまとめ、磁化の膜厚依存性のデータを増加させる。
|
Report
(2 results)
Research Products
(4 results)