Project/Area Number |
21K14214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 21060:Electron device and electronic equipment-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
金子 美泉 日本大学, 理工学部, 助教 (30755418)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | MEMS / タンク / 流路 / テスラバルブ / タービン / マイクロ流路 / 温度分布 / 一体化 / 発電機 / 低沸点冷媒 |
Outline of Research at the Start |
従来、IoT遠隔デバイスの電源にはリチウム二次電池などが用いられているが、交換が必要であり、普及に対して一つのボトルネックになっている。そこで、交換が不要な発電システムとして、出力が大きく、なおかつ普遍的な環境エネルギーから電力を得る電源が望まれている。本研究では低沸点媒体を用い,より普遍的に存在する100℃以下の廃熱を利用し、3mW 程度の出力を得られる超小型発電システムへの開発を目標にする。小型タービンのシステムを密閉型にし、低沸点媒体の蒸発、液化サイクルを利用して100℃以下の廃エネルギーの利用を可能とする。将来的にはボイラ、冷却器などを組み合わせて作動流体循環式発電機に発展させる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は100℃以下の低品位な熱源を利用した循環型小型発電システムを実現するための要素開発を目的としている。100℃以下の熱源を利用するために作動流体には低沸点媒体を利用するが、小型化のために利用するミリメートルスケールの構造部品との相性や実現可能性について要素毎に検討を進めている。昨年度までの検討から、発電に大きく関係するタービンの回転数向上には密封性と循環流路の関係が重要であることが明らかになった。また、低沸点媒体を貯蔵している加熱部が実験においてはタービン構造に比べ大きいことから、内部の相変化に伴い温度低下が懸念されていた。 このことから、令和4年度は流路の流体解析および低沸点媒体貯蔵庫となるタンクの検討を重点的に行った。流路の流体解析についてはテスラバルブについて最適形状を検討するために有限要素法により使用する低沸点媒体の流体解析を微小領域において実施した。その結果、逆止弁の役割を示す最適な形状が明らかになった。また、低沸点媒体の貯蔵タンクについてはタービン構造と同様のシリコン微細加工技術であるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)工程を利用して10mm角程度の外形をもつ構造について設計・開発を行った。開発したタンクはシリコンでできたモノリシック構造内部に貯蔵タンクを形成し、外部から加熱することで内部で相変化を起こさせる構造とした。また、内部にはタンクと同時に気相の低沸点媒体を圧縮し運搬するための流路を形成することで全体の小型化を図った。開発したタンクは内部に低沸点媒体を貯蔵し加熱することで排出口からの気相での排出を確認した。また、貯蔵タンクに対して加熱する方向を変えることで排出量に差が出ることを流体解析と実験の双方から確認できた。磁気回路については磁性コアと巻線を組み合わせMEMSタービンの低沸点媒体による発電を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題研究はそれぞれの要素に分けて開発を行っている。 令和4年度の研究計画においてMEMSタービン機構では高速回転タービンの試作を予定していた。また、MEMSの低沸点媒体流路では媒体の温度分布および相変化の解析を行う予定であった。媒体の温度分布および相変化については、タービン機構および微細流路において昨年度半導体不足の影響を受けて入手が困難となっていた低沸点媒体が入手できたことから今年度に実施することができた。 しかしながら昨年度までの研究において、タービンの高速回転化にはタービン前後に関わる構造の密封性と循環流路の形状および温度変化が密接に関わっていることが明らかになった。また、低沸点媒体を貯蔵している加熱部が実験においてはタービン構造に比べ大きいことから、内部の相変化に伴い温度低下が著しく、実際の環境と差があることが明らかになった。このことを受けて、本年度はMEMSタービンと組み合わせる低沸点媒体貯蔵タンクの検討を重点的に行った。貯蔵タンクについては、将来的にタービン構造と一体化をさせモノリシック化を行うことから、タービンと同様のMEMS工程により設計と作製を行った。有限要素法による流体解析では、加熱方向によって気相状態の作動流体がどのような挙動を示すかを明らかにしたことから、今後はタービンと組み合わせて回転数などの検討を同時に進めることが可能となった。また、流路の検討についても有限要素法による解析を行い、テスラバルブの新たな形状について検討を行った。これらの結果は微小領域での低沸点媒体の挙動解析として、今後の研究の指標となるデータが得られたといえる。一方で、磁気回路においてはセラミック材料の低インダクタンス化について今後検討の必要があるものの、磁性コアと巻線を組み合わせることで形成した磁気回路をMEMSタービンと組み合わせ発電結果を得られたことから設計に反映する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度はこれまで開発を行ってきたタービン機構、磁気回路、低沸点媒体流路の総括と一体化デバイスの作製と検討となる。過去2年の研究結果から、低沸点媒体貯蔵タンクとタービン機構の一体化については各要素の密封性と相変化による課題が明らかになったことから、下記のように研究計画の変更を行う。 一体化についてはタービン機構と貯蔵タンクの関係性から一体化することで性能の向上が見込めると考えられる。そのため、今後はモノリシック構造でのタービン・タンク・流路の作りこみを行う。設計においてはMEMS工程を利用し、シリコンを用いることで加熱・放熱において効率のよい構造とする。また、内部の相変化や回転動作の観察を行うために上部あるいは一部においてガラス層を挿入し解析を進める。また、本設計では復水器を含まないきわめて単純な構造を検討する。これにより一体化の課題を明らかにする。また、一般的な循環型発電システムにおいては回転機構、貯蔵機構のほかにポンプや復水器が必要であるが、小型化においてはまだ検討が十分にされていないと考えられる。そこで、一体化することでこれらの必要性について改めて検討を行う。さらに、加熱部と流路およびタービンの位置の最適化についてはそれぞれ行っていたものを総括して検討を行う。 また、逆流を防ぐ逆止弁の役割を担うテスラバルブについてはまだ十分に検討ができていないことから個別に検討を行う。設計については昨年度までに解析した結果を踏まえて行い、低沸点媒体による流体の流れ解析を実験的に行う。磁気回路についてはインダクタンス値と配置場所の最適化について検討を進めるのと同時に、要素の一つであるMEMSタービンのみと組み合わせて実験を行うことで解析と実測値の比較を行う さらに、3年間の研究に関する成果報告として学会での発表や論文の執筆を行い、得られた研究データおよび知見について公表する。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)