文化的景観の保全に資する動態的持続性の解明と計画論への応用
Project/Area Number |
21K14319
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 23030:Architectural planning and city planning-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022) Osaka Prefecture University (2021) |
Principal Investigator |
阿久井 康平 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 助教 (90779315)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 文化的景観 / 棚田 / 動態的持続性 / 景観構造 / 耕作放棄地 / 営み / 担い手 / 水田景観 / 水利システム / 集落形成 / 平面形態 / 断面形態 / ゾーニング |
Outline of Research at the Start |
中山間の田園地域では地形に起因する水利システムが構築され、営農環境を支え、豊かな景観が継承されてきた。しかし、人口減少時代のもと営農を継続する担い手や地域コミュニティの希薄も危惧されている。持続可能な文化的景観の保全のあり方を考究するためには、景観構造の特質の解明に加え、営農などを生業とする担い手や地域コミュニティによる営みの維持・発展・衰退という動態性と関連づけ、複合的観点から捉えることが重要となる。 本研究では、水田景観を有する集落に主眼を置き、水利システムと集落形成が成す景観構造の特質を明らかにする。また、集落での営みの動態性を解明し、文化的景観の保全に資する動態的持続性を考究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度(2022年度)は、分析対象地として選定した大阪府指定棚田地域の豊能町「高山の棚田」「牧の棚田」を主な対象に、田畑の営農や耕作放棄地の利活用を踏まえた営みの動態性の実態把握、景観構造の視覚的特徴を解明し、文化的景観の保全に資する知見を得ることを目的とした。 田畑の営農や耕作放棄地の利活用による営みの動態性の実態について、「高山の棚田」では、スゴ・コカベにおける象徴的な棚田でNPO団体による耕作放棄地を利活用したぶどう栽培やボランティア団体による畑作など、地域外の担い手の介入が景観保全を支えていることが示された。また、耕作放棄地の利活用を通じた活動は、多様な主体間のコミュニケーション機会を創出する役割を担っていることも示唆できた。「牧の棚田」では、ため池の改修というきっかけが地元協議会の立ち上げにつながり、民間団体の参入や行政との連携による運営体制の構築を図り、耕作放棄地を利活用した景観保全のみならず、食育を通じた環境教育や山々の竹林整備をはじめ、農空間の保全に資する波及効果に影響を与えていることも示唆できた。 また、「高山の棚田」において、地域内住民と地域外住民の被験者を対象に、全31地点の土地利用状況と地形断面からなる景観構造の構成要素から読み解く視覚的景観の特徴との関係を分析した。土地利用状況として「田」「畑」「ぶどう畑」「耕作放棄地」の違いを踏まえ、「方向」「田の向き」「山並み」「耕作地占有率」「段の数」のアイテムを用いて、数量化3類とクラスター分析を適用し、考察を行った。分析の結果、地域内住民では「田の向き」「段の数」、地域外住民では「耕作地占有率」「山並み」が景観評価の主要な要素となっていることが明らかとなった。例えば、圃場整備にあたっては、農業生産や農地利用の利便性の追求と景観保全のトレードオフの関係を見据えた農空間の保全の追求が重要であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記した当該年度の研究スケジュールに沿って調査・分析を進めることができ、次年度の事例分析の拡充に向けた一定程度の方法論構築まで進展することが可能となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度で得られた知見や分析の方法論を応用しながら、事例分析の拡充を行う。引き続き、営みの動態性の分析として田、畑に関する耕作農地や耕作放棄地の営農状況をはじめ、集落や空き家・空き地の状況との対応関係、水利システムの維持管理の実態や方法との関係、植生管理の実態や方法などの関係について、現地調査、地域史の文献調査、地域の担い手や水利組合などの関係機関へのヒアリング調査を実施しながら把握する。また、得られた知見を地図情報やGISをもとに詳細図に情報を集約・可視化を図るとともに、空間解析及び比較検証を行い、それぞれの特質を解明する。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)