Project/Area Number |
21K14492
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 28030:Nanomaterials-related
|
Research Institution | Sendai National College of Technology (2023) Tohoku University (2021-2022) |
Principal Investigator |
鈴木 龍樹 仙台高等専門学校, 総合工学科, 助教 (90805285)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 高輝度 / エネルギー移動 / 金属錯体 / ナノ粒子 / シンチレーションスペクトル / J会合体 / 分散液 / 放射線 / シンチレータ |
Outline of Research at the Start |
本研究では、金属錯体ナノ粒子を用いた「分散系液体シンチレータ」と呼ぶ新しいシンチレータ形態を提案する。金属錯体は、金属と放射線との大きな相互作用による発光量の増大と有機物の短い発光寿命により放射線の高検出効率と高速応答性が期待できる化合物であるが、難溶性により結晶成長が困難である場合が多く、シンチレータの材料開発における重要な性質となる透明なバルク結晶を作製する点において実用化が困難であった。本研究では、申請者が独自に開発したナノ粒子化手法:「ナノ粒子反応法」を駆使して金属錯体をナノ粒子化し、分散液とした液体シンチレータの提案により、バルク結晶の作製を回避しつつ透明性の担保と大容量化を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、金属錯体ナノ粒子を用いて高速かつ高輝度で放射線を検出するシンチレータの開発を目的とした。固体発光を示す1,1,2,2-Tetrakis(4-(pyridin-4-ylphenyl))ethene (TPPE) を配位子とする亜鉛錯体Zn(TPPE)を対象化合物としてナノ粒子化を行った。Zn(TPPE)ナノ粒子(NPs)は、激しく攪拌したTPPE-トルエン溶液にZnCl2-メタノール溶液を滴下した後、減圧によりメタノールを除去することにより得た。生成物の元素分析より目的の錯体が得られたことを確認し、走査型電子顕微鏡(SEM)像から、Zn(TPPE)が約40 nmの球状ナノ粒子として形成されたことがわかった。粉末X線回折 (pXRD) パターンはハロパターンであったことから、NPsが非晶質であった。次にZn(TPPE)NPsをポリスチレンに25 wt%分散させ、波長変換剤であるp-Terphenylを3 wt%溶解させたプラスチックシンチレータ(PS)を作製した。PSの発光寿命は2.8ナノ秒であり、配位子TPPEに由来する早い寿命をPSにおいても維持していることがわかった。得られたPSの波高 (PH) スペクトル (γ線源: 241Am 59.5 keV) を測定したところ、鉛化合物を添加した市販のPSの一つであるNE142 (発光量:5200 MeV) に比べて、本研究で作製したPS はNE142を上回る約6200 MeVの発光量を示した。これは、放射線によって励起されたポリスチレンから波長転換剤p-Terphenylを介して、Zn(TPPE)に効率的にエネルギー移動が起こった結果であると考察している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シングルナノ秒の発光寿命を示し、市販品の発光量を上回る高輝度で放射線を検知できるシンチレータの作製に成功したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究で検討したZn(TPPE)は金属有機構造体(MOF)であり、今回使用した波長転換剤はMOFの空隙に包摂されることで効率的なエネルギー移動を行ったと考えている。今後は、波長転換剤の種類や添加量を検討することで、より高輝度で発光するシンチレータの開発に取り組む。また、耐候性試験等も行い、シンチレータ性能の基礎物性評価も検討する。材料作製と評価を通して、発光メカニズムの解明も同時に進めていく。
|