Enhancement of thermoelectric performance in superlattice film with Dirac electron system using electron-phonon interaction
Project/Area Number |
21K14536
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 29020:Thin film/surface and interfacial physical properties-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石部 貴史 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (50837359)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 熱電変換 / シリサイド半導体 / ディラック電子系 / 超格子 / 界面制御 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、代表者が培ってきた輸送電子の平均エネルギー増大法、及びナノ構造界面フォノン散乱の知見を駆使して、低毒元素のみで構成したSi基板上e-CoSi1-xGex/e-CoSi超格子薄膜熱電材料を創製する。本超格子において、e-CoSi1-xGexの有するDirac電子由来の超高電気伝導率、Ge濃度変調に伴う電子-フォノン相互作用制御によるゼーベック係数増大を狙う。また上記材料を超格子化することでe-CoSi1-xGex/e-CoSi界面でのフォノン散乱誘発に伴う熱伝導率低減を達成し、三熱電物性の同時制御を実現する。これにより、IoT, IoHセンサ用の高性能薄膜熱電電源を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、代表者が培ってきた輸送電子の平均エネルギー増大、及びナノ構造界面フォノン散乱の知見を駆使することで、電子・フォノンの二粒子同時制御を可能にするSi基板上シリサイド超格子薄膜熱電材料を創製する。具体的には、ε-CoSi1-xGex/ε-CoSi超格子薄膜において“Dirac電子の超高電気伝導率”と“局在Heavy band位置の意図的制御による高ゼーベック係数”を実現して熱電出力因子増大を、さらに合金・界面フォノン散乱誘発による熱伝導率低減を同時達成することを目的とする。 令和3年度に単一相からなるε-CoSi薄膜の形成に成功した。しかし、界面電子散乱により出力因子が10μWcm-1K-2程度に留まっていた。そこで令和4年度は、Si基板上の初期成長核の形成条件を変えることで、エピタキシャルε-CoSi薄膜の形成に成功した。さらに、CoとSiの組成比を調整すると、キャリア密度が変化することがわかった。最終的に、最適なCoとSiの組成比において、出力因子が大幅に増大し、20μWcm-1K-2を達成した。測定温度領域を高温にした際、目標であった30μWcm-1K-2を越えた。さらに、ε-CoSi1-xGex薄膜を異種元素Mで置換したところ、格子熱伝導率0.7 W/mKを達成し、結果としてZT~0.2 at 300 K、~0.3 at 400 Kを獲得した。極小の格子熱伝導率の起源について、熱伝導率の温度依存性より調査したところ、点欠陥散乱、界面散乱の階層的なフォノン散乱の寄与が効いていることが明らかとなった。このように、今年度の目標出力因子を達成し、さらに来年度の目標であったZT~0.3にも到達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、Si基板上の初期成長核の形成条件を変えることで、エピタキシャルε-CoSi薄膜の形成に成功した。さらに、CoとSiの組成比を調整すると、キャリア密度が変化することがわかった。最終的に、最適なCoとSiの組成比において、出力因子が大幅に増大し、20μWcm-1K-2を達成した。測定温度領域を高温にした際、目標であった30μWcm-1K-2を越えた。さらに、ε-CoSi1-xGex薄膜を異種元素Mで置換したところ、格子熱伝導率0.7 W/mKを達成し、結果としてZT~0.2 at 300 K、~0.3 at 400 Kを獲得した。極小の格子熱伝導率の起源について、熱伝導率の温度依存性より調査したところ、点欠陥散乱、界面散乱の階層的なフォノン散乱の寄与が効いていることが明らかとなった。このように、今年度の目標出力因子を達成し、さらに来年度の目標であったZT~0.3にも到達した。これらの結果より、順調に研究が遂行できていると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究成果より、成長条件の最適化によりエピタキシャルε-CoSi薄膜を形成し、さらにキャリア密度調整により、高熱電出力因子を得ることに成功した。令和5年度はまず、ε-CoSi1-xGex薄膜のx量を緻密に調整して熱電出力因子のさらなる向上と熱伝導率低減を狙う。エピタキシャルε-CoSi薄膜の成長において、Si基板上への初期成長核の形成が重要であることがわかった。この知見を用いて、Ge導入時の初期成長核に注力して成長条件探索を行う。Geが金属誘起結晶化により、分離してしまう場合、Ge量の減少、格子不整合歪制御を検討してエピタキシャルε-CoSi1-xGex薄膜の形成を行う。薄膜の熱伝導率次第ではあるが、熱伝導率低減が不十分な場合は当初の予定通り、ε-CoSi1-xGex/ε-CoSi超格子を作製して界面フォノン散乱増強を取り入れる。一方、薄膜で十分に低い熱伝導率が得られた場合、高熱電出力因子を示しやすい薄膜に注目し、さらなる性能向上条件を探索するとともに、デバイス作製・評価まで展開する予定である。これにより、IoT、IoHセンサ用電源の開発に向けて、Si基板上に高性能薄膜熱電材料の創製を実現する。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)