孤立空孔と蓋状アタッチメント触媒の協同作用による精密有機合成
Project/Area Number |
21K14641
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹澤 浩気 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60813897)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
|
Keywords | 自己組織化 / 分子認識 / イオン認識 / ランタノイド / ホスト-ゲスト / ホストゲスト / 有機反応 / 触媒反応 / 立体選択的反応 |
Outline of Research at the Start |
有機合成化学における一つの目標到達点は、ある基質に対し狙った部位に狙った官能基を自在に修飾できることである。本研究では、 孤立空孔をもつ中空錯体と蓋状のアタッチメント触媒を組み合わせることで、通常の手法では制御し得ない位置・立体選択的な分子変換を可能にする。疎水空孔を持つカチオン性中空錯体の開口部に、開口部のカチオン部位と相補的な位置にアニオン部位を導入 した金属触媒を静電相互作用により固定化し、基質と活性点の位置関係を精密に制御する。中空錯体による分子閉じ込め効果と精密に配置された触媒活性部位を同時に利用した選択的カスケード環化や不活性分子の位置・立体選択的反応を開拓する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに開発した三脚型の蓋状イオンを用いて、中空錯体と組み合わせることでこれまでに観測・合成が困難だった種類の金属錯体を合成した。例えば、ランタノイドイオンに対し有機配位子が3つ特定の方向から配位したキラル錯体を中空錯体内で合成することができた。その構造は単結晶構造解析により明瞭に観測することができた。結晶構造中、金属イオンが蓋状イオンとの相互作用を介して中空錯体開口部に固定化される一方、有機配位子は中空錯体の疎水空孔によってその位置や配位方向が定まり、これら複合的な効果によって錯体の構造が特異で一義的な構造へと制御されていることがわかった。さらに、こうして得られた錯体のうちいくつかは、結晶化の際に自然分掌が起こり、一つの単結晶中では単一のキラリティをもつ錯体のみが存在することもわかった。この珍しい現象には多数の構成成分がひとつの構造体を作るという本系の特徴が影響していると考えられる。 更に、蓋状イオンのイオン部をスルホナートからホスホナートとし、合計の電荷を-3から-6にすることで中空錯体との相互作用を強めることができた。これにより正電荷をもつ金属錯体を配位させても十分な相互作用の強さを保つ"蓋状アタッチメント"を実現できた。 また、反応探索においては、蓋状イオンの作用によって中空錯体開口部に配置された金属イオンが、ルイス酸触媒として機能することがわかった。一部のDiels-Alder反応において、中空錯体・蓋状イオン・金属イオンがすべて存在する条件下でのみ加速効果が見られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたように、蓋状イオンを用いて金属イオンを中空錯体開口部に配置する"蓋状アタッチメント"とも呼べる系を構築することができた。また、その金属イオンによって一部の有機反応が触媒されることも発見した。一方で、構造の同定に想定以上の時間を要したことから、当初狙っていた特異な選択性を示す反応の実現には至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
構築できた系をもとに、特異反応の探索を引き続き行う。特に反応加速のみにとどまらない、サイト選択性や立体選択性をも変化させられる系を構築する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(30 results)