高分子ガラスにおける吸水性を利用した強靭化への改質法の確立
Project/Area Number |
21K14680
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 35020:Polymer materials-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
伊藤 麻絵 金沢大学, フロンティア工学系, 助教 (20845177)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | 非平衡構成方程式 / ガラス状高分子 / 水 / PMMA / 塩 / ポリメタクリル酸メチル / リチウム塩 / 粘弾性 / 力学物性 / レオロジー / 高分子 |
Outline of Research at the Start |
汎用的なガラス状ポリマーは脆く、この脆さを改善した材料設計が困難であった。ガラス状ポリマーの脆さを克服するためにさまざまな改質が行われてきたが、一般的に硬さと粘り強さはトレードオフのため、従来の研究では、材料の脆さを克服すると軟化してしまう点が問題であった。そこで本研究では、代表的なガラス状ポリマーを用いて、分子間相互作用を利用した材料設計指針を構築し、硬さを保ったまま粘り強さを付与できる普遍的な材料設計指針を確立する。その指針をもとに、将来的にはガラス状ポリマーのぜい弱性を克服した革新的な高透明ガラス状ポリマーの創出につなげる。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、環境・エネルギー問題対策として、システムの軽量化を目的にさまざまな分野で無機材料のポリマー系材料への置き換えが進んでいる。ガラス状ポリマーは透明性が高く、無機ガラスの代替が期待されるが、硬さと粘り強さの両立が難しかった。さらに、最近では資源の有効利用を目指し、サステイナブルな材料創成が求められている。そこで申請者は、代表的なガラス状ポリマーで最も高い透明性を持つポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いて、持続可能な方法で硬さを保ったまま粘り強さを付与できる材料設計指針を確立し、資源循環型社会に寄与する「力学特性制御により硬さと粘り強さの両立を実現した革新的ガラス状ポリマー」を創出できると考えた。さらに申請者の最近の研究から、分子間相互作用を利用することで、共有結合と同等の強い結合と、高い分解性により元の汎用性 ポリマーに簡単に戻すことができる可能性が見出された。本申請課題ではこの技術を利用し、「確実な結合とやさしい分解」を有し、「硬さと粘り強さ」を両立する材料設計指針を構築することを目的とするものである。
初年度に得られた応力―ひずみ曲線について構成方程式を作成し、各水分量の応力―延伸比曲線において良好にフィッティングできることを明らかにした。構成式にPMMAの分率αを入れて、αがひずみとともに定数kを指数として変わっていくという非平衡構成方程式を導入した。解析の結果、定数kは塩濃度にはよらず、水の量にのみ依存することがわかった。最終年度では、延伸速度依存性の実験を行い、水の拡散と粘弾性効果の関係を調べたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2021年度:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)/リチウム塩添加コンポジットに吸水させた際の一軸延伸試験を実施した。応力―ひずみ曲線を各吸水量ごとに得て、吸水量1%ごとに異なる応力―ひずみい曲線が得られることを見出した。関連する論文を4報投稿、うち3本は受理されており、1本は審査中である。現在は、上記の応力―ひずみ曲線に対して構成方程式を作成しているところで、理論化までもう一歩のところまできている。
2022年度:非平衡構成方程式を考案することができ、良好に結果を再現できることがわかった。関連の論文を3本投稿し、受理された。当初の計画以上に進展しており、最終年度はより詳細な議論を深める段階にきている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はポリメタクリル酸メチル(PMMA)/リチウム塩添加コンポジット吸水系の一軸延伸延について伸速度依存性の実験を行い、水の拡散と粘弾性効果の関係を調べたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(21 results)