Project/Area Number |
21K14748
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 37020:Chemistry and chemical methodology of biomolecules-related
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
澄本 慎平 神奈川大学, 工学部, 助教 (20852502)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 気生シアノバクテリア / 天然物 / 生物活性物質 / 微生物資源 / HeLa細胞 / ゲノム |
Outline of Research at the Start |
一般的にシアノバクテリアは生物活性物質の生産能が高い生物であることが知られているが、気生シアノバクテリアは近年に培養株が確立されたため生産する物質やゲノムに関する情報がほとんど明らかとなっていない。このため、未開拓な生物資源である気生シアノバクテリアを用いて、有用物質の探索とゲノム情報の解明を行うことで様々な研究分野に応用展開できる研究基盤を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度に、有用物質生産株の大量培養方法と有用物質の生産誘導方法を確立できた。この大量培養方法は中規模での培養を繰り返すことで大量の藻体を得ることができるものである。繰り返し培養を行う必要があることから、この2つの技術を組み合わせるためには有用物質の生産誘導の再現性が高い必要がある。 このため、まず初めに藻体の培養と有用物質の誘導を中規模のスケールで行い、これを複数回繰り返して行った。得られた藻体から有機物を抽出し、ODSカラムクロマトグラフィーによる粗精製を行った。粗精製により得られたフラクションを用いて、HeLa細胞に対する増殖阻害活性試験を行ったところ、再現性よく同じフラクションに同程度の活性(50%阻害濃度が30 mg/L程度)が得られた。このため、前年度に確立した大量培養方法と有用物質の生産誘導方法を組み合わせることに問題がないと判断し、培養スケールの拡大を行った。 合計50L培養を行い、同様に粗精製を行ったところHeLa細胞に対する50%阻害濃度が34 mg/Lのフラクションが119.1 mg得られた。そこで、活性の確認されたフラクションをさらにHPLCによって精製したが、得られた活性物質の量が少ないため構造決定には未だ至っていない。また、培養のロットごとに異なるフラクションに活性が確認されたことから、1種類の気生シアノバクテリア培養株が複数種類の生物活性物質を生産できることを示唆する結果が得られた。気生シアノバクテリアの生物活性物質生産能の高さが明るみになった一方、生産する生物活性物質の種類が安定しないことが得られた活性物質の量が少ない直接的な原因となっており、生物活性物質の安定供給という点においては課題の残る結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、前年度に確立した「大量培養方法」と「有用物質の生産誘導方法」の2つの技術を組み合わせて、気生シアノバクテリアを大量に培養して十分量の有用物質を確保し、構造決定を行うことを目的とした。 今回、確立した培養方法により50Lと大規模なスケールでの培養が問題なく行えること、さらに有用物質の生産を誘導することで、得られた抽出物の粗精製物に安定したHeLa細胞に対する増殖阻害活性を確認することができた。また、培養ロットごとに異なる活性物質を生産しており有用物質生産能が高いことが示唆された。しかしながら、得られた生物活性物質の量が少なく構造決定に至っていないことから生物活性物質の安定供給に課題が残る結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に新たに明るみになった課題として「培養ロットごとに生産する生物活性物質が異なる」ことが挙げられる。本研究では中規模スケールでの培養を複数回行うことで安定した大量培養を達成しているため、この課題は大きな問題と考えている。このため、今後の対応策としては1. 有用物質の生産誘導方法を変更する、2. 有用物質生産株のゲノム解読を行いゲノムマイニングによるアプローチが可能となる基盤を整える、この2つの方策で推進する。これまで得られた結果から、有用物質の生産誘導は培養条件のコントロールのみでは困難なことが予測されるため、さまざまな添加剤を用いることで安定した誘導条件を検討する。
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